ニュージーランド南島最大の人口を擁するクライストチャーチは、南北に細長い中央部のカンタベリー地方に位置する観光都市です。市街地のみならずその周辺の観光スポット各地へのアクセスをも網羅した南島の玄関口と言えるでしょう。
また、市内中心部には美しい公園(ガーデン)が点在して随所に緑が生い茂っているほか、パンティング(舟遊び)といった英国文化が今もなお色濃く根付いており、「イギリス以外で最もイギリスらしい町」と評されるほど。
市内を穏やかに流れるエイボン川では、小舟に乗って水上からクライストチャーチの豊かな自然や町並みを眺めるアクティビティもあり、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
2011年に発生した大地震によって大変な被害を受けネオゴシック調の建造物は破壊されてしまいましたが、現在は復興も進み、近代的な商業施設などもオープンしています。
この記事では、クライストチャーチ市内とその周辺の観光地情報をお届けします。
残念ながら日本からクライストチャーチへの直行便はないので、オークランドまたはシドニー(オーストラリア)経由での渡航となります。
オークランドへはニュージーランド航空と全日空(ANA)の共同運行で成田国際空港から直行便が就航していて、所要時間は約10時間40分。オークランドからクライストチャーチは飛行機で約1時間30分です。
時間にも余裕があり、他の都市もゆっくりと廻りたいという方には、バスとフェリーを組み合わせる移動手段もあります。
例:オークランド~ウエリントン(バス)→ ウエリントン~ピクトン(フェリー)→ ピクトン~クライストチャーチ(バス)
費用は抑えられますが、所要時間は24時間前後とかなりかかるのでご注意ください。
クライストチャーチ国際空港から市内中心部は約12kmとほど近く、車で20分程度の距離です。
移動費用を安く抑えるには、「メトロ」と呼ばれるバスを利用するといいでしょう。
停留所から目的地まで自分で調べて移動しなくてはなりませんが、市内までは2ルートが1時間に1~4本の頻度で運行しています。
また、時間に余裕がある場合は、スーパー・シャトル社が運行しているエアポートシャトルもおすすめです。乗客の人数がある程度揃い次第の出発なので料金、出発時刻は異なりますが、人数が多いほど一人あたりの料金は安く済むので、利用する時間帯によっては料金を抑えられます。
クライストチャーチ市内観光名物の一つとして、「トラム」は外せません。
歴史ある車両を修復し、観光用トラムとして復活を遂げています。どこか懐かしい色合いのレトロな雰囲気の車両は、気さくで知識豊富な運転手により運転され、詳しい説明を聞きながら町並みを走っていきます。
チケットは1日有効でもちろん途中の停留所(大聖堂広場、カンタベリー博物館、ニュー・リージェント・ストリートなど17箇所の名所)での乗り降りも自由。
観光客の方は、単なる移動手段以上のわくわく感を得られるとともに、観光エリアを周遊することができます。
テカポの町はクライストチャーチから南西の方向へ車で3時間ほどの場所にあります。
ミルキーブルーのテカポ湖の周辺には、壮大なサザンアルプスの山々が連なり、春から夏にかけては麓にルピナスの花が咲き誇ります。この絶景はニュージーランドを彷彿とさせるような代表的で有名な風景でもあり、何度でも深呼吸をしたくなるほどです。
また、テカポ湖は世界有数の星空観測地としても知られており、「光害」が少ない夜中の時間帯、晴天時には全身に降り注ぐような満天の星空を拝めることも。
シーズンによっては周辺の宿はすぐに満室になるため、お早めの計画、予約を推奨します。
”ガーデンシティ”と呼ばれるクライストチャーチには公園や庭園が点在していて、町中が緑豊かに彩られているので、ここが国内第三の都市であることを忘れてしまうほどです。
公園の中でもとりわけ大きい面積を誇るのがハグレー公園。総面積約165ヘクタールにもおよび、東京の日比谷公園の約15倍という広大さになります。
公園内にはスポーツ施設も多く、ゴルフやテニス、ジョギングなどで汗を流す人々が多く見られるほか、カヤックやレンタルバイクなどのアクティビティもあり、大人も童心に帰れるような楽しみ方が多種多様に揃っています。
コーヒー片手に散歩するだけでも、リラックスした優雅なひとときを過ごすことができますね。
ハグレー公園の一角を占めており、1863年、イギリスのビクトリア女王の長男アルバート・エドワード王子とデンマークのアレクサンドラ王女の婚礼を祝してイングリッシュ・オーク(オウシュナラ)を植えたことをきっかけに、年間を通して様々な植物を楽しめる植物園になりました。250種類以上ものバラが咲き誇るバラ園のほかに日本庭園や桜の花もあり、日本との繋がりも垣間見れ、ニュージーランドを身近に感じられますね。
2011年2月に発生したカンタベリー地震により、カセドラル・スクエアを中心としたクライストチャーチ中心部は、壊滅的な被害を受けました。
町の象徴であった大聖堂も倒壊したため、仮設の大聖堂として建てられたのが「カードボード・カセドラル」。設計は日本人建築家の坂茂氏が手掛け、災害支援活動にも積極的に取り組んでいます。当大聖堂は、屋根には特殊加工が施されたボール紙製のチューブを使用しているほか、建物内部の祭壇や椅子、十字架なども全て紙素材でできているのが最大の特徴。
多くのボランティアの協力のもと、市民の願いと祈りを込めて建設されたこの大聖堂は、礼拝はもちろんコンサートやイベント会場としても利用されています。
建築物としての精巧さ・贅沢さを追求するよりも、「大切なもの」以外は全て削ぎ落として紙素材でシンプルに製作し、環境へも配慮したそのコンセプトにも心打たれることでしょう。
耐用年数は約50年とされ、新たな大聖堂再建までの「仮設」という位置付けではありますが、すでに市民たちの心の拠り所となっているのは言うまでもありません。
クライストチャーチから高速バスで2時間30分~3時間で到着するカイコウラは、まるで絵に描いたように美しい海外沿いの景色が広がる町で、美味しいシーフードを味わえる上、海の野生動物と間近に触れ合えるアクティビティが沢山あります。
カイは「食べ物」、コウラは「クレイフィッシュ(イセエビ)」というマオリ語の地名が象徴する通り、絶対に試してほしいのはクレイフィッシュです。
ホエール・ウォッチングやドルフィン(ハラジロカマイルカ)・エンカウンターなど、海洋生物のアクティビティも豊富にあるので、ぜひ参加してみてください。
リトルトンはクライストチャーチ中心地から車で20~30分ほどにある小さな港町です。
1850年にクライストチャーチに移住したヨーロッパ入植者が最初に到着した港で、人口約3,000人のリトルトンはクライストチャーチの外港として発展しました。
町自体はこじんまりとしているので徒歩でも十分廻れるサイズです。メインストリートであるロンドン・ストリートにはレストランや雑貨店が建ち並び、毎週土曜日にはファーマーズマーケットも開催されています。
地元の人々の暮らしぶりを体験するのには、ファーマーズ・マーケットを訪れてみるのがいいでしょう。毎週土曜日に歴史的建造物リカートン・ハウス前で開催されるマーケットは、地元産の肉、野菜、チーズなど毎日の生活を支える食材はもちろん、日曜日にはアート&クラフトや屋台が並ぶアルチザン・マーケットも開催され、活気に溢れています。
一点物のお土産が見つかるかもしれませんし、作り手と会話を交わすことで、より地元に根ざしたエピソードやクライストチャーチの暮らしぶりについて知識を得られるのも魅力ですね。
1976年までカンタベリー大学の校舎として使われていたネオゴシック様式の建物群。中にはシアターや映画館などがあり芸術家たちの創作活動の場としても人気スポットです。
2011年の大地震により大きな被害を被りましたが徐々に修復が進み、カフェやレストランもあるので、現在も変わらず人々の憩いの場所となっています。
もともと郵便局だった建物を利用して(そのため、入口上部には”POST &TELEGRAPH”の文字が)1996年にオープンした地元でも人気のカフェで、天井や壁にはチューブが張り巡らされているという何とも不思議な内装です。なんと、このカフェでは注文したバーガーやポテトが筒状のボックスに入ってチューブを通りテーブルまで届けられるという斬新なシステムなのです。
店内の壁に日本語が書かれたカートゥーンが飾られていたり、レトロなインテリアがあったりと、遊び心満載の空間でバーガーやマフィン、ケーキをお楽しみください。
19世紀後半の可愛らしい建物を再利用したレストランで、エントランスには柔からかなガス灯が揺れているのが印象的です。メイン料理はシーフードやラム、ポーク、ビーフなど豊富な種類の中から選択できるので大満足。受賞歴が多数で味にも定評があるので予約しておくとより安心ですね。
Opening Times Monday – Saturday 5:00 pm Onwards Our Address 23 Worcester Boulevard, Christchurch Ce…
2011年の大地震では、大きな被害を受けたクライストチャーチ。しかしながら、復興活動は刻一刻と進み、新しい商業施設などもオープンしています。
歴史的建造物やレトロ感溢れるトラムなど、古き良き時代の雰囲気を残しながらも、前向きな人々とともに近代的にも変化していくこの場所を、ゆっくりと散策してみてください。
※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。