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ケチャとは?幻想的なバリ民族舞踊の鑑賞方法とツアーの魅力

「神々の棲む島」と称されるバリ島には、たくさんの伝統芸能、文化が生活のなかに根付いています。2015年には、バリ舞踊が世界無形文化遺産として認定されました。数あるバリ舞踊のなかでも、ひと際異彩を放つのが民族舞踊「ケチャ」です。この記事では、鑑賞前に知っておきたいケチャの起源や見どころに加え、じっくりと鑑賞できるおすすめのスポットを紹介します。

2020/02/18

ケチャ(ケチャックダンス/ケチャダンス)とは?

上半身裸の男性たちがチャッ、チャッ、チャッ、チャッという合唱とともに大勢で円陣を組んで踊る、バリ島のユニークなダンス「ケチャ」。ほかの国では決して見ることのできない、バリ島独自の民族舞踊です。円陣は50人から多いときは100人に及ぶこともあるそう。会場に響き渡るリズミカルな男声合唱と、体全体を使ってダイナミックに踊る光景は、まるで大きなひとつの生きもののようです。神秘に包まれたケチャを、わかりやすく3つのポイントに分けて紐解いていきましょう。

ケチャはバリの民族舞踊のこと

「バロン」、「レゴン」と並んで、バリ島の三大舞踊のひとつに数えられる「ケチャ」。ケチャダンス、ケチャックダンスと表記されていることもありますが、すべて同じ民族舞踊のことを意味しています。とても古い歴史がある舞踊のように感じますが、現在のスタイルで踊るようになったのはまだ100年足らずです。

ケチャの起源はある儀式に由来するとされています。古くからバリ島では、疫病などが流行すると「悪魔を鎮める儀式」を行う習慣がありました。その儀式のひとつに、楽器を一切使用せず、人間の声を伴奏にして踊る「サンヒャン」と呼ばれるものがあり、これがケチャの起源だといわれています。そして1930年代、バリ島在住のドイツ人画家、ワルター・シュピースたちが、バリ舞踊の動きとサンヒャンの男性合唱を取り入れた“魅せるスタイル”にアレンジしたことで、さらに観光客の話題を集めることとなりました。

ケチャが初めて上演されたのは、ウブドの南東にあるブドゥル村の村民たちだったと伝わっています。今ではしっかりとバリ島を代表する民族舞踊のひとつとなり、ケチャを見るために連日多くの観光客が押し寄せています。

ちなみに、ケチャという名前の由来は、冒頭で述べたチャッ、チャッ、チャッ、チャッという独特の掛け声からきているそうです。幾重にも重なりあう声が猿の声にも似ているため「モンキーダンス」と呼ばれることもあるようですが、カエルの鳴き声からインスピレーションを受けたという説もあるので定かではありません。

古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」を基にしている

ケチャの演目は、5部構成のストーリー仕立て。インドの古代叙事詩「ラーマーヤナ」を題材にした物語になっており、歌舞団や開催場所によって内容が若干異なりますが、定番の演目は「ラーマーヤナ」のシータ姫誘拐のシーンです。

シータ姫の艶やかな衣装や踊り、魔王ラワナの威厳ある姿、さらにトランスダンスをイメージさせるものもあります。またサンヒャン・ジャランによる火の上を歩くファイヤーダンスは見応え十分です。開演前に、日本語で書かれたあらすじが配られるので、現地の言葉がわからなくても楽しめますよ。

幻想的な踊りと合唱が魅力

ケチャの見どころは、やはり雄大かつ幻想的なダンスと、耳に残るチャッ、チャッ、チャッ、チャッという50人を超える男たちの大合唱。バリ舞踊をはじめ、インドネシアの舞踊では、「ガムラン」と呼ばれる伝統楽器を使うことが多いですが、ケチャの場合は全パート人間の発声音のみ。肉声が会場にこだまし、力強い踊りとともに、神秘的な世界へと観客を誘います。生身の人間しか表現することのできないケチャの空気感は、現地を訪れた人にしか味わえないものです。

ケチャを見るには?

楽器を使わず、声と体だけでストーリーを表現するケチャは、開催場所の世界観も大切ですよね。抜群のロケーションで見られる海沿いの寺院や、伝統文化、芸術のメッカとして名高いウブドエリアの会場をピックアップしましたので、旅行プランの参考にしてみてください。

ウルワツ寺院に行く

ケチャを鑑賞できるスポットとして最も有名な場所といえば、絶好のロケーションを誇る「ウルワツ寺院」でしょう。ウルワツは「岬」という意味で、その名の通り、バドゥン半島の断崖に立てられた寺院です。高さ約70mの断崖絶壁からインド洋を見下ろす大パノラマは、一見の価値あり。なかでも、夕景は息をのむほどの美しさです。オレンジ色に染まる大海原を背景に、魅惑のケチャダンスを楽しめるとあり、日本人はもちろん、世界各国から多くの観光客が足を運んでいます。

ウルワツ寺院はジンバランから車で30分ほど。「ジンバランビーチ」で有名なジンバランでは、夕日を眺めながらシーフードを味わうのが、旅行の定番です。ぜひ、ケチャ鑑賞とともにジンバラングルメも堪能しましょう。

タナロット寺院、ダラム・ウブド寺院など他の寺院でも定期公演アリ!

続いて、ケチャの世界観をより一層盛り上げてくれるウブド&ウブド近郊の会場もいくつか紹介します。せっかく訪れるなら、会場の雰囲気もしっかりと満喫しましょう!

まずおすすめするのは、バリ島中部タバナン県の海沿いに佇む「タナロット寺院」です。空港からエアポートタクシーで約1時間、ウブド中心部からも約1時間で到着します。海に浮かぶ岩の上に建てられており、まるで大きな客船のよう。「世界で一番美しい夕景スポット」としても有名で、茜色に染まる空と海をバックに寺院のシルエットが浮かび上がる光景は、言葉では表現できない美しさです。

この素晴らしい景観をもつタナロット寺院の北側にある集会場で、ケチャを鑑賞することができます。寺院を眼下に望む高台には展望カフェがいくつかあるので、散策の合間のひと休憩にぴったり。寺院の敷地内には、雑貨や洋服などを販売する土産店もあるので、少し早めに到着して散策を楽しむのもおすすめです。干潮時には岩と陸がつながり、寺院の近くまで行くことができますが、原則として異教徒は岩の上に(寺院内)に登ることはできませんので注意しましょう。

バリ舞踊の観光拠点となるウブド周辺でイチオシのスポットは、町のランドマークであるウブド王宮から歩いて行ける「ダラム・ウブド寺院」です。メインストリート沿いにあるので、ショッピングや食事の合間にも立ち寄りやすいところもうれしいポイント。ダラム・ウブド寺院は、賑やかな都心部に位置しているのを忘れるほど緑豊かで穏やかな空間。火の上を歩くサンヒャン・ジャランのファイヤーダンスもここで見ることができます。

このほか、ハノマン通りの「パダン・トゥガル集会所」でも鑑賞可能です。ウブド王宮ではバロンやレゴンも上演されているので、ウブドに滞在してバリ島の三大舞踊を制覇してみるのも楽しいですよ。

ケチャの公演はたいてい18時以降になるので、昼間は「ウブド市場」でお土産や珍しい食料品、雑貨を見つけたり、「モンキー・フォレスト」で野生の猿に餌をあげてみたり、面白い観光スポットを巡ってみましょう。

民族舞踊ケチャの鑑賞は、バリ島でしか叶わない貴重な体験!

伝統芸能が色濃く残るバリ島で、現地でしか目にできない民族舞踊ケチャは、きっと素晴らしい旅の思い出になることでしょう。ケチャは夜に開催される場所がほとんどで、鑑賞料金もかかるため、安全に効率よく巡るならツアーに参加するのがおすすめです。ベルトラではケチャの鑑賞や人気の観光スポットをセットにしたプランなど、魅力的なオプショナルツアーを揃えています。ぜひチェックして、充実したバリ島観光を楽しんでくださいね。

※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。

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