ハワイのなかではオアフ島やマウイ島などがメジャーですが、ハワイ諸島の西端に「ニイハウ島」という個人所有の島があるのをご存じでしょうか。この島は別名「禁断の島」「秘密の島」とも呼ばれています。どんな島なのだろうと興味が沸いてきますよね。この記事では、ベールに包まれたニイハウ島の歴史を紐解き、その秘密に迫っていきたいと思います。また、ニイハウ島に上空から接近することのできる話題のオプショナルツアーについてもみていきましょう。
ニイハウ島はカウアイ島とともにハワイ最古の島といわれています。禁断の島であるニイハウ島とはどのような島なのでしょうか。まずはニイハウ島の基礎情報について紹介します。
ハワイ諸島を構成する主要8島のうち、一番西側に位置するのがニイハウ島です。ニイハウ島に最も近いのがカウアイ島で、南西に約27 k㎡離れています。天候に恵まれた日には、カウアイ島からニイハウ島が見えることも。ニイハウ島の面積は約179k㎡でそれほど大きくありませんが、島内には標高約381mのパニアウ山もあります。「プーワイ」という唯一の集落では、ネイティブハワイアンをはじめ百数十人ほどが暮らしているそうです。
ニイハウ島の気候は降水量が少なく、乾燥しているのが特徴です。1778年、イギリスの探検家クック船長の率いる船が上陸した際に、水や食料を十分に得ることができなかったというエピソードが残っています。また、その昔に幾度かの干ばつが起こったことも記録されています。だからと言って荒廃した島ではなく、ニイハウ島は手つかずの自然が魅力の美しい島です。
ニイハウ島に住む人のほとんどは先住民です。ハワイ語が島の公用語ですが、ニイハウの方言混じりの言葉が使われているといわれています。
ニイハウ島の知名度は、オアフ島などと比較するとあまり高いとはいえません。ほかの島と決定的に違うのは、観光客が自由に足を踏み入れることができないことです。
「どうして?」と思う人も多いでしょう。なぜ立ち入れないのかというと、驚くことにニイハウ島はある一族の私有財産となっているからです。いきさつは、1864年頃。スコットランドからカウアイ島に移住してきたエリザベス・シンクレアが、当時の国王カメハメハ5世からピアノ1台と1万ドルほどでニイハウ島を購入したことに始まります。エリザベス・シンクレアが亡くなったのち、現在もその子孫であるロビンソン家が所有者として島を守っています。
またニイハウ島は日本との関りのある島でもあります。
時は1941年12月まで遡ります。真珠湾攻撃の最中に、日本人パイロットの西開地重徳がエンジンの故障でニイハウ島に不時着しました。住民たちによって手当を受けますが、島の一人が隙をついて地図と銃器を盗んだことで争いへと発展します。そこに仲介として入ったのが、当時カウアイ島から農場の管理人としてこの島に移り住んでいた日系2世の原田義雄夫妻でした。しかし、西開地は住民によって殺害され、原田はアメリカ人であるにも関わらず日本人を助けたということで思い悩み、自ら命を絶ってしまいます。この出来事は、ニイハウ島事件として歴史に刻まれています。
クック船長が上陸した1778年頃にはサトウキビやパイナップルなどの生産が行われていて、農業に従事する約1万人の住民がいたといわれています。シンクレアが購入する頃には他島への移住や帰島によって数百人にまで減少しており、2019年12月時点の住民数はおよそ百数十人。入島が許されているのは、基本的にロビンソン一家とカウアイ島を含むカウアイ郡にかかわる人に限定されているため、この先も人口が増えることはなさそうです。
島には電気がなく、昔ながらの生活が大切にされています。電気やインターネットなどが当たり前のように使われている現代において、非常に珍しい地域だといえるでしょう。外部の人や情報がほとんど入ってこず、観光地化もされていませんが、独自のハワイ文化や豊かな自然を残すためには必要なことなのかもしれません。
ニイハウ島の魅力は、何といっても人の手が加わらない手つかずの美しい自然です。ニイハウ島の大自然に触れる手段は、ヘリコプターによる公認ツアーのみ。このヘリコプターは、ロビンソン一家が住民のための医療用ヘリコプターとして所有しているものです。ヘリコプターの維持費のため、ツアーが組まれているともいわれています。
このヘリコプターツアーは、最低5名集まらないと出発できないなどの規定があるため注意が必要です。決められたビーチに上陸することはできますが、島民の写真を撮ることや交流することは禁止されています。しかしヘリコプターから美しい島の景色を眺めたり、透明度の高いビーチでシュノーケリングを楽しんだりと貴重な体験ができるため、観光客に人気です。
ニイハウ島のビーチでは時折、日光浴をするハワイアンモンクシール(ハワイ固有のアザラシ)に出会えることがあります。ハワイアンモンクシールは絶滅危惧種に指定されている貴重な生き物。ハワイ州法とアメリカ連邦法などの法律で守られているので、ビーチで出会ったら近づいたりせず、遠くから(最低15mは離れた場所から)そっと見守りましょう。
ニイハウ島は世界的にも有名なニイハウシェルの産地としても知られています。ニイハウシェルとは、ニイハウ島のビーチで採れるカヘレラニという貝の貝殻のこと。アクセサリーやレイなどにも使われているため、名前を耳にしたことがある人もいるでしょう。直径2mmほどの小さな貝殻ですが非常に高価で、宝石に匹敵するような値段がつけられることもあるとか。訪れたビーチで、ニイハイシェルを見つけることができるかもしれませんよ。
また、島で特徴的なのが「塩田」です。乾燥した気候を生かし、海水から塩を作っています。塩田を上空から眺めるという機会はなかなかないため、ヘリコプターから見下ろし、雄大な景色を堪能するのもおすすめです。
上陸はできませんがフェリーに乗ってニイハウ島周辺の海へ行くことも可能で、ダイビングツアーなども組まれています。ニイハウ島の海はとても美しく、絶滅危惧種に指定されるような貴重な生き物も生息。運が良ければハワイアンモンクシールやウミガメに遭遇することもあります。
ロビンソン一家の私有地であるニイハウ島に上陸する際は、マナーを守って行動する必要があります。ツアーに参加するときは、以下のようなことに気をつけましょう。
島の人々を撮影することは禁止されています。住民に偶然出会ったとしても、カメラやスマートフォンを向けて写真や動画を撮らないようにしましょう。もちろん一緒に写真を撮りましょうと誘うこともNGです。
住民と接触することも禁じられています。島のほとんどの人はハワイアンでハワイ語を話しますが、学校教育の一環でお隣のカウアイ島に行って英語を学ぶ機会もあります。こちらの話すことを理解されている可能性はありますが、話しかけてはいけません。交流を楽しむ以上に、島の人々の文化や生活を尊重するという姿勢が大切です。
今は、インターネットの普及でいかなる情報も世界に発信されてしまう時代です。写真撮影や会話をするという行為は、島の人々の伝統や生活の様子が外部に知れ渡ってしまうことにつながります。ツアーではこのような注意事項をいくつか説明されますが、よく理解したうえで参加することが大切です。
ニイハウ島の人々は、島の気候や風土とともに自分たちの伝統や文化に誇りを持っており、今も独自の生活を続けています。美しい自然景観や希少な生物・植物を見られるのは、島の環境が大切に守られてきた証。ベルトラでは、ニイハウ島周辺を訪れる現地オプショナルツアーも用意しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。