タイ北部にある「ワット・ロンクン」は、チェンライ出身のアーティストがデザインを手がけたお寺で、寺院全体が真っ白なことから「ホワイトテンプル」とも呼ばれています。純白の寺院とは対照的に、苛烈な炎や地獄を思わせるデザインなども施されており、「天国と地獄」が調和した独特な雰囲気を感じられると、人気が高まっているスポットです。
この記事では、このワット・ロンクンの基本情報やアクセス方法、見どころなどを紹介します。
ワット・ロンクンは近年建てられた比較的新しいお寺ですが、チェンライの観光スポットとしてだけでなく、ランドマークとしても高い知名度を誇るスポットです。まずは、このワット・ロンクンの営業時間や拝観料といった基本情報を紹介します。
営業時間は6時30分から18時までです。早朝から拝観できるので、朝から観光地巡りをしようと考えている方にもおすすめです。
外国人観光客の場合、50バーツ(約181円)の拝観料がかかります。おつりのないようにあらかじめ用意しておくと、入場がスムーズになりますよ。
ワット・ロンクンはチェンライ市内から約14kmの場所にあります。主なアクセス方法は、ローカルバス、ソンテウ(乗り合いバス)、トゥクトゥク(三輪タクシー)の3つです。詳しくは下記の通りです。
チェンライの市街地からバスで行く場合は、第1バスターミナルから「ワット・ロンクン行き」に乗車します。所要時間は約20分です。
ワット・ロンクン沿いの道路、パホンヨーティン通りを運行しているソンテウを利用して、HONDA交差点で下車しましょう。ソンテウはローカルバスとは異なり、運行しているルート上ならどこでも途中乗車、下車できます。
トゥクトゥクの場合、チェンライ市街のバスターミナル前から乗るのが一番わかりやすいでしょう。ワット・ロンクンまで片道100バーツ~200バーツ(約363円~725円)と、運転手によって料金の幅があります。
建物だけでなく敷地内にある神仏像などすべてが真っ白で、SNS映えもする魅力的なワット・ロンクン。じっくり見て回れば、建物のデザインや雰囲気など、ほかの寺院にはない個性を感じられるでしょう。
地獄のような装飾があるため「地獄寺」と呼ばれることもありますが、恐ろしい餓鬼などの像があり「地獄寺の聖地」として有名なのは「ワット・パイローンウア」ですので、お間違えのないように。それでは、ワット・ロンクンの特徴を見ていきましょう。
別名「ホワイトテンプル」と呼ばれるように、ワット・ロンクンは白を基調として造られた寺院です。神仏像も建造物の彫刻も基本的には白で統一されていますが、なかにはシルバーが使われているものもあります。この白や銀といった色には、「仏陀の心に邪悪な気持ちや欲が全くない」ということを表しています。一方、タイ国内のほとんどの寺院ではゴールドが使われていますが、金色には「人々の迷いを取り除く」という意味があります。
ワット・ロンクンをデザインしたのは、チェンマイ出身のヴィジュアルアーティスト、チャルーンチャイ・コーシピパット氏です。前衛的な仏教画家としても知られています。ワット・ロンクンは、タイに伝わる伝統的な文化や芸術と、既存の枠組みを破壊する「シュールレアリズム」の要素を融合させたデザインで、独創的な寺院に造り上げられています。
ワット・ロンクンには、天国と地獄が混在しています。入口から本堂に続く道は地獄がテーマ。地獄の「血の池」をイメージした、無数の手が伸びる恐ろしい装飾や、番人のように立ちはだかる、光と闇を支配するヒンドゥー教の魔神像などが見られます。この2体の魔神を横目に橋を渡れば、その先は天国。やさしく微笑む観音様が出迎えてくれますよ。
コーシピパット氏は、タイの伝統を重んじながらも、現代らしいポップカルチャーを寺院のデザインに取り入れています。敷地内のあちこちに、日本や海外で人気のアニメキャラクラー、アメコミヒーローなどをモチーフとしたモニュメントを見かけることができ、人によっては寺院ではなくテーマパークのように感じることも。これまでにない、新しいタイプのお寺の姿といえるかもしれませんね。
一般の観光客も見学可能なワット・ロンクンですが、実はまだ建設中の場所も多くあります。最終的には庵や塔など9つの建物が建つ予定ですが、お寺をデザインしたコーシピパット氏自身が、「自分の存命中には完成しないだろう」と発言しているため完成日は未定。最終的な完成までに約90年かかるといわれていますが、今後どうなるかはまさに「神のみぞ知る」です。
ワット・ロンクン内には多くの見どころがあるので、充実した観光を楽しめます。ここからは、ワット・ロンクンで特におすすめのスポットを見ていきましょう。
入口から敷地内に入ると、まず「血の池地獄」という名の参道を歩きます。ここに架かる橋が「輪廻転生の橋」です。橋の両側には、地獄の様子をイメージして造られた、恐ろしい彫刻が並んでいます。じっくり観察すると、もがき苦しむ人々の無数の手やドクロを持つ手、苦痛に顏をゆがめる人、目や口から何ともいえない恐ろしい生き物が飛び出している人などが見られるでしょう。
この恐ろしい参道を通り抜けると、観音菩薩様の待つ「天界」の様子を表現したエリアにたどり着きます。人間が死後地獄へ落ちてから、罪を償い、救済され、天国へ行く様を体感できます。
コーシピパット氏は、本堂内の壁画にも斬新なデザインを取り入れています。風刺画や人気アニメ、コミックのヒーロー、有名人などが描かれており、華やかながらもどこかコミカルな雰囲気を感じられます。
しかし、ワット・ロンクンの本堂は極楽浄土を表している場所にあり、崇拝対象となっている本尊をお祀りしている神聖な場所です。観光地となっている寺院なので、斬新な壁画を旅行の思い出として写真に収めたくなるかもしれませんが、ほかの寺院同様、本堂の写真撮影は禁止となっているのでご注意ください。
ワット・ロンクンの敷地内で唯一、白や銀色以外の色を使用しているのがトイレ。トイレの建物には黄金色が使われています。黄金は「物欲や煩悩」を意味する色とされており、黄金のトイレを利用することで、自分の欲や煩悩を流すことができるかもしれませんよ。
ワット・ロンクンは比較的新しいタイのランドマークとして、近年注目を集めているスポットです。美しい純白の寺院に、迫力ある装飾やデザインが施されており、その独特の世界観がたまりません。アクセス方法は複数ありますが、現地の乗り物を使うのが不安という方も少なくないでしょう。そうした方には、現地オプショナルツアーの利用がおすすめです。ベルトラでは、ワット・ロンクンを含むチェンライ観光の現地オプショナルツアーを用意しています。ぜひ参考にしてみてください。
※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。