素晴らしい時間と心折れる行き帰り

2018年7月14日 パリ祭限定 セーヌ川ディナークルーズ バトーパリジャン <3コースディナー/現地集合・解散>
★★★★☆
投稿者:じゃじゃまる
参加日:2018/07/14
乗船時間19時30分に十分間に合うよう18時ころアルマ・マルソー駅にボクと妻は降り立った。なんとすでにディナークルーズを待つ人の列は、アルマ橋まで続いている。
18時とはいえ、パリはまだ陽が高い。木陰のない橋のたもとの歩道で、一向に進まない列。時計を何度も見る。ジリジリしてくる。18時50分過ぎに、前に並ぶインド人若夫婦がボクらに問いかける。あなた方も19時30分の船ですよねと。この進み方じゃ心配になるよね。
遠くに見えて来たチェックの様子は、とってもノロい。その調子じゃ、この群衆を到底さばけませんぜ。しかも途中からの割り込みがひどい。割り込むのはフランスの地元の人が多い。列は整然としたものじゃないから、それをいいことに何やらしゃべりながら脇からスルリと集団の先の方に紛れ込む。おしゃれな紳士、ドレスアップした女性も平気な顔で割り込み。そういうお国柄なのかしら?と思う。
目の前に割り込んだグループに列の後ろに行けと注意したが、少し後ろでまた割り込んでいる。ここは紳士の国じゃないのかい!すっかり心が折れる。
19時を過ぎたら群衆に焦りが漂い始めた。当然、前のほうで強引な割込みも多くなる。そのうち大混乱になるかも…と心配になる。
申し込まなきゃよかった…気分を害しながらも、このままでは大量のキャンセルになるから船も出発できないさとタカをくくる。
19時15分ころから列が急に流れ始めた。チェックの人数が増えたのと、チェック自体がすごく甘くなった。セキュリティパスもチラ見、ボクにはバックの中身のチェックすらしない。その2、3日前にVELTRAからパスポート持参の案内メールがあったが、パスポートどころじゃない緩さ。というか、この混乱ではパスポートを失くさないかの方が心配だ。持ってこなきゃよかった。
先のインド人夫婦は、近くのフランス人夫婦にパスポートは?と尋ねていた。フランス人夫婦はセキュリティパスを手に「これがそうさ」と。当然、フランス人はパスポートを持って集まっていない。
やっぱりパスポートはホテルのセキュリティボックスに入れて、コピーを持参すればよかったなと思った。
チェックを通過したら小走りで船着き場に。手前の船で乗船する船と席を指定され、別の船に向かう。席は船尾の窓側。目の前にエッフェル塔が見える。ようやくほっとしてスーツのジャケットを脱いだ。20時の出航まで、まずはシャンパンで乾杯。
分厚いフォアグラの前菜から始まったコースは、サーモン、メーンの子羊肉、チーズ、デザートへと続く。気持ちも味覚もふくふくとした時が流れる。船着き場にたどり着くまでの身勝手な人たちのせいで疲れきった気持ちが癒されていく。
素敵な時間が流れ、22時、船はエッフェル塔そばの船着き場に戻った。30分ころから乗客はワイングラスを手に船尾のデッキに。川風に吹かれながら、23時過ぎ、さぁ花火ショーの始まりだ。
エッフェル塔も花火で包まれ、目の前が花火でおおわれる。花火の連打の区切りのたびに大きな歓声と拍手。新婚さんなのかな?目の前で日本人カップルが頻繁にキスをする。キスをする横顔が花火の光で浮き上がる。
23時30分過ぎに花火は終わり、船上ではワインパーティの続きが始まった。いつまで飲んでいるんだろう?この人たちどのようにして帰るのかな?などと思いながら、ボクらは23時50分ごろ船を降りた。アデュー。
帰路は多くの人の流れに従って、セーヌ川沿いを歩く。暗い道があるが、たくさんの人も一緒。日本の花火大会の帰り道のようなもの。
1時間近く歩いてコンコルド広場に。地下鉄駅の入り口が見つけられず、次のチュイルリー駅まで歩く。移動遊園地からキャーっという歓声。パリ祭の夜は日が変わってもにぎやかだ。
チュイルリー駅に入ってきた地下鉄は超満員。とうてい乗り込めないと思ったが、一緒に並んだ紳士が車内に突入したので、それと一緒にボクらも無理矢理乗り込む。妻を先に押し込み、後からボクが。1回は身体半分がドアに挟まれ、少し開いて次はカバンが車外に。完全に閉まりきらないドアからカバンの底に手を回し、強引に引き込んだら腕時計が外れた。
ああ…そのまま地下鉄は発車。ホームにいた紳士が下を指さし「ウォッチ」と口パク。ボクは涙を拭くジェスチャーで応じた。落とした腕時計はフランス製。確か値段も安かったはず。でもスーツに合ったので気に入っていたのにな。時計は故郷に返したと思うことにした。
パリ祭のディナークルーズ、行きと帰りの苦労さえ厭わないなら、素晴らしい時間が過ごせる。割り込みの横行と帰りの足の不安で星1つマイナス。それでも体験する価値は十分あると思うよ。
船着き場に戻るころにはエッフェル塔には灯りがともる
30分間、目の前は花火でおおわれた
セーヌ川沿いを歩いて帰路に