イサーンはタイの東北部で、ラオスとの国境に近い高原のエリアです。日本ではあまり名前を聞く機会がない地域ですが、実は見どころの多い観光地。日本人がよく訪れるバンコクとは全く違った雰囲気で、タイの民族文化や自然を満喫したい人におすすめの場所です。この記事では、イサーンの基本情報や魅力、観光スポットを紹介します。
イサーンと呼ばれるタイ東北部は、タイの国土の3分の1を占めるほど広大な地域です。標高200mほどの高原が広がり、豊かな自然に恵まれています。
日本から行く場合は3通りです。日本からバンコクへ向かい、バンコクから国内線でコーンケーン空港(KKC)へ向かう方法と、BTSモーチット駅の北バスターミナルからバスで行く方法、あるいは電車の東北本線で行く方法があります。
イサーンには20の県があり、ナコーンラーチャシーマー県やスリン県などを含む南イサーンと、ウドーンターニー県などを含む北イサーンの2つのエリアに分かれています。それぞれのエリアで代表的な街について見てみましょう。
バンコクからおよそ260km北東に位置するナコーンラーチャシーマーは通称コラートと呼ばれています。イサーン最大の都市ですが、自然が豊かで、タイシルクの生産地として有名です。
スリンは象の飼育や訓練が行われてきた歴史があります。そのため、スリン県のタークラン村にあるエレファントヴィレッジでは、今でも象と人間が共存している様子を見学できます。毎日象乗りや象のショーが行われていて、象のダンスやゲームを披露してくれます。
北イサーンに含まれるウドーンターニーはバンコクから約560km離れたところにあります。多くの遺跡が残されていて、なかには世界遺産に登録されている「バーンチェン遺跡」もあり、イサーンならではの建築様式を見ることができます。
タイは雨季、乾季、暑季の3つに季節が分かれていますが、イサーンの気候は他の地域に比べると降水量が少ないのが特徴です。雨季に当たる8月はイサーンでも降水量が約200mm以上となりますが、一方、乾季に当たる12月は1mmを切るほど降水量がありません。気温は高めで、暑季にあたる5月は平均気温が30℃近くまで上昇します。
イサーンにはさまざまな魅力がありますが、特に魅力的なのが料理、遺跡、音楽(モーラム)の3つです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
イサーン料理は唐辛子を使っているものが多いため辛さが強いのですが、日本人にも人気の料理があります。たとえば「ソムタム」が挙げられます。ソムタムの「ソム」は酸っぱい、「タム」は叩くという意味で、青パパイヤをトマトやエビと一緒に叩くことに由来しています。イサーンでは各家庭にソムタムのオリジナルレシピがあります。酸っぱさはトマトとライム、しょっぱさは「プラーラー」や「ナンプラー」の味付けによるもので、ナンプラーはタイの魚醤、プラーラーとは塩漬けにした魚を発酵させた調味料です。
ほかに「ガイヤーン」と呼ばれる鶏の炭火焼きもイサーン料理の1つです。鶏肉にかけるタレは、辛さと酸っぱさが感じられる「ナムチムジェオ」ソースとチリソースの2種類があります。ひき肉のサラダ「ラープ」や、もち米の「カオニャオ」もイサーン料理で人気のメニューです。
イサーン地方にはクメール王朝時代に建てられた、クメール遺跡が点在しています。なかでも、ナコーンラーチャシーマー県にあるピマーイ歴史公園には、タイで最大規模のクメール遺跡が残されています。
公園内の遺跡はアンコールワットのモデルになったともいわれていて、細かな彫刻が施された神殿などが見学できますが、いつ誰が建てたものなのかはわかっていません。ただ、かつてクメール帝国の首都だったアンコールとナコーンラーチャシーマーは道が一直線に続いていたことから、宗教的に特別な意味を持つ場所だったことは判明しています。
ほかに、ブリラム県にあるパノムルン歴史公園でも、彫刻の細部まで見えるほど保存状態がよいクメール遺跡を見ることができます。丘の上に神殿が建てられており、晴天時にはカンボジアとの国境付近にある山脈が望めるうえ、眼下には農村地帯が広がっていて大変景色のよい場所です。
イサーンにはモーラムという伝統音楽があります。竹笛の「ケーン」や、ギターのような「ピン」と呼ばれる楽器を使った演奏に合わせて歌やダンスを行うものです。歌詞はラオスの言葉で作られているのですが、これはイサーンがラオスとの国境に接していることから、ラオスの言葉に近くなっているためです。
イサーンは自然や遺跡のほかにも、寺院や博物館など観光スポットがたくさんあります。北イサーンと南イサーンの名所を紹介します。
<ワット・チャイシー>
「ワット・チャイシー寺院」には、イサーン地方に伝わる物語が描かれた壁画があります。寺院は20世紀の頭に建てられたもので、壁画のイラストがユニークなことで注目を集めています。
<シリントーン博物館>
「シリントーン博物館」は、東南アジアで最大ともいわれる自然史博物館です。地球が誕生してから人類が出現するまでの歴史が展示されています。タイで発掘された恐竜の標本や化石などを見ることができ、なかでも新種の大型恐竜の骨格標本は迫力満点。入館料は外国人大人100バーツ(約350円)、子供50バーツ(約175円)ほどです。
<ワット・プラタート・ノン・ブア>
「ワット・プラタート・ノン・ブア寺院」の見どころは、なんといっても高さ57mものピラミッド型の仏塔。インドの建築様式を取り入れたもので、インドのブッダガヤにある大仏塔をイメージしています。夜にライトアップされ、仏塔が輝く様子は幻想的で、目を奪われることでしょう。
<シルク村>
イサーンで生産されたシルクは品質が高いことで有名です。特にパクトンチャイ・シルク村やターサワン・シルク村のものは天然染料を使用して絹を染めている最高級品で、タイの王妃がオーダーしているほどです。シルクの製作過程も見学できますし、お土産を買うこともできますよ。
※2020年2月10日のレート:1バーツ=3.50円。料金等は予告なく変更になる場合があります。
せっかくイサーンに観光へ訪れるなら、ぜひ本場の味を試してみてください。地元で人気のお店には北イサーンにある「バーン・ター・ペー」や「チャバ―・バーン」が挙げられます。ここではイサーン料理を味わえるおすすめレストランを紹介します。
ラオスとの国境に接しているルーイ県にあるお店。イサーンの伝統料理だけでなく隣国のラオスから影響を受けて作られたメニューもあり、なかでも「トーンムーヤーン」と呼ばれる、豚肉を野菜やハーブと一緒に炒めた郷土料理が一押しです。
ウドーンターニー県の中心地から車で10分ほどのところにあるレストラン。イサーン産の食材にこだわっていて、敷地内に自家農園や温室があります。「ソムタム」や、「トムセップ」というピリ辛スープが絶品。
イサーン料理はタイの人々にも人気があるので、地元で食べられているだけでなくタイの首都バンコクでも味わうことができます。バンコクにあるレストランを2つ見ていきましょう。
イサーン料理を食べることができるお店で、人気なのは店名にも入っている「ソムタム」です。他に「ガイヤーン」や「ラープ」を食べることもでき、辛めの味付けなのでビールが進むでしょう。1品約50バーツ(約175円)から注文できるリーズナブルなお店なので、ランチは地元客で混んでいることが多いようです。
「ガイヤーン」が特におすすめのお店で、バンコクの人気店の1つです。ガイヤーン以外にも、「トムヤムクン」や「グリーンカレー」といった本場のタイ料理もあります。人気があるお店なので予約をしておくとスムーズでしょう。
イサーンは面積が広大なためどこを観光するかによって宿泊するホテルは変わります。そのため観光客が多く訪れる北イサーンのルーイ県にあるおすすめホテルを2つ紹介します。
目の前にメコン川が流れているリゾートホテルで、対岸には隣国のラオスの風景を見ることができます。全室リバービューなので、部屋から川を眺めてゆっくりくつろげるでしょう。
敷地内が緑豊かで、自然に囲まれながら落ち着いた雰囲気を味わえます。ホテルの内装にも木が使われていて、温かな空間でリラックスすることができます。隠れ家のような造りで、日常を忘れるのにピッタリなホテルといえます。
イサーンでは料理や遺跡、音楽など独特の民族文化に触れることができます。特に遺跡は他の地域のものとは様式が異なるので、古代の歴史に思いをはせながらゆっくり見てまわるのがおすすめです。ベルトラでは、イサーンを満喫できる現地オプショナルツアーも用意しています。昼食付きのプランも豊富なので、ぜひチェックしてみてください。
※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。