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興福寺|古都奈良の御堂と仏像を巡る寺

法相宗の木本山であり、藤原京にあった「厩坂寺(うまやさかでら)」が前身である世界遺産興福寺。平城遷都の際に現在の地へ移され、名称も「興福寺」とされました。

平安時代、平氏の焼き討ちで全焼したが、鎌倉復興期には運慶などの仏師が多くの仏像を造り、阿修羅像や国宝となった数々の歴史的 建造物が、参拝者の心を魅了し続けています。

2020/09/16

興福寺の基本情報

歴史・概要

前身として伝えられる「厩坂寺(うまやさかでら)」、その前身と伝えられる「山階寺(やましなでら)」から歴史は長く、710年(和銅3年)平城遷都の際に藤原不比等の計画で移されるとともに「興福寺」と名付けられました。

その後もその勢力は衰えることを知らず、天皇や藤原氏の手によって次々と御堂や塔が建てられていき奈良時代には四大寺平安時代には七大寺の一つに数えられていました。

その後、明治政府による神仏分離などで苦境に立ちますが、寺僧や信仰深い人々の努力で復興し、今もなお歴史を刻み続けています。

拝観料、拝観時間

興福寺国宝館

大人・大学生:700円

高校生・中学生:600円

小学生:300円

国宝館・東金堂連帯共通券

大人・大学生:900円

高校生・中学生:700円

小学生:350円

東金堂

大人・大学生:300円

高校生・中学生:200円

小学生:100円

中金堂

大人・大学生:500円

高校生・中学生:300円

小学生:100円

*拝観時間 いずれも 9:00~17:00(受付終了16:45)年中無休

御朱印

御朱印は、南円堂納経所で受け取ることが可能です。必ず、諸堂にご参拝された後にお受け取りください。

受付時間 9:00 ~ 17:00(最終受付は16:30)

アクセス

電車でお越しの場合

JR奈良駅より徒歩約15分、奈良交通バス約7分

近鉄奈良駅徒歩約5分

お車でお越しの場合

名古屋方面より:名阪国道~天理IC~約30分で興福寺

京都方面より:京奈和自動車道~木津IC~約15分で興福寺

大阪方面より:第二阪奈有料道路~宝来ランプ~約15分で興福寺

駐車場

乗用車(普通・軽自動車):1回 1,000円

興福寺の見どころ

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国宝館

奈良時代に僧侶が集団で食事をする食堂(じきどう)が建てられていた場所に1959年(昭和34年)に国宝館は建てられ、外観は当時の食堂を模しています。

内部にはお修羅像を筆頭に、平安時代の燈籠、鎌倉時代の木造金剛力士像、木造天燈鬼・龍燈鬼像、さらに飛鳥の山田寺から運ばれた7世紀の銅造仏頭など数多くの国宝や重要文化財が並んでいます。

その中でも阿修羅像は天平彫刻の傑作として、現在も人々の視線を集めており必見です。

南円堂・北円堂

1789年(寛政元年)に再建された南円堂は西国三十三所観音霊場の第九番礼所として参拝さえる人が多い御堂です。もともとは、813年(弘仁4年)に藤原冬嗣が父の内麻呂追善のために建立したと言われ、現在は重要文化財に指定されています。

日本全国には多くの八角円堂がありますが、興福寺の北円堂「最も美しい」と賞賛されています。興福寺の創建者藤原不比等の一周忌にあたる721年(養老5年)に元明・元正天皇が、長屋王に命じて建てさせたものです。興福寺の西の隅に位置しているこの場所は、平城京を一望できる場所として不比等の霊を慰めるには最良の場所でした。なお、北円堂は国宝に指定されています。

東金堂

中金堂の東側にある金堂で、東金堂と呼ばれる西向きの御堂です。726年(神亀3年)聖武天皇が叔母の元正太上天皇の病気全快を願って建立されました。正面には丸柱が並び奈良時代の建築様式を体現しています。御堂自体も国宝に指定されており、堂内には十二神将立像や文殊菩薩坐像など貴重な仏像が納められています。

三重塔

高さ19.1mの本瓦葺きで北円堂とともに興福寺に現存する最古の建物です。

鎌倉時代の建物ですが、平安時代の建築様式を伝えており優美な姿で境内のはずれに立っています。

東側には弁才天坐像とその諸尊である十五童子像が安置されていて、毎年7月7日に弁才天供(べんさいてんく)*が行われます。

*『多聞院日記』にも見られるように、興福寺では学問遂行を祈って熱心な弁才天信仰が続いていました。現在は毎年7月7日午前10時より法要を厳修し、年に一度、三重塔の特別開扉を行っています。

五重塔

五重塔は、730年(天平2年)に興福寺の創建者である藤原不比等の娘光明皇后の発願で建立されました。日本で二番目に高い五重塔で(一番高いのは東寺の五重塔)奈良を象徴する五重塔です。

5度にも渡る焼失、再建を経て現在の姿になりましたが、軒下は太く力強い木々が複雑に組み合わさっており技術の高さを伺わせています。

天燈鬼・龍燈鬼

国宝館に所蔵されており、国宝に指定されている2体の像で、鎌倉時代の再興期の西金堂須弥壇(しゅみだん)に安置されていた像です。四天王像に踏みつけられる邪鬼を独立させ、仏前を照す役目を与えました。

阿と吽、赤と青、動と静とが対比的に表現された鬼彫刻の傑作とされています。

境内にひしめく、時空を越えた建造物

興福寺境内には、度重なる焼失を乗り越えた数々の御堂、塔がありその一つひとつに、その時代を表現する建築技術が詰まっています。

御堂の中に所蔵している阿修羅像などの仏像ももちろん必見ですが、境内を歩きながら建造物に思いを馳せるのもいいかもしれません。

※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。

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