世界4大博物館のひとつとされる故宮博物院は、中国4000年の歴史を体感できる観光スポット。中国歴代皇帝の至宝を約2万点展示しており、貴重な所蔵品を見ることができます。広大な敷地には、山々を背景にして建つ3階建ての本館や、約7000坪の本格的な中国式庭園があり、1日かけても見終わらないほど。この記事では、故宮博物院の基本情報や見どころ、お土産などを紹介します。
故宮博物院の基本情報を紹介します。故宮博物院の歴史や、営業時間、アクセス方法、入場料もあわせてチェックしましょう。
正式名称は「国立故宮博物院(こくりつこきゅうはくぶついん)」。館内には、宋、元、明、清王朝の歴代宮廷が所有した至宝を中心に約69万点が収蔵されており、そのうち約2万点を常設展として展示しています。展示品の入れ替えや、特別展が開催されることもあるため、何度行っても楽しむことができます。故宮とは「かつての宮殿」を意味する言葉です。
中国の宝物は複数の場所に移動され、最終的には台湾に渡りました。
中国最後の清王朝が崩壊後、北京の「紫禁城(しきんじょう)」に保管されていた歴代王朝の宝物は、中華民国に継承されました。中華民国は、1927年に故宮である紫禁城と宝物を一般に公開し、それが現在の故宮博物院の原点となっています。
その後、日本軍の中国侵略が激化すると、宝物を上海、南京に移動し、更に宝物は奥地に分散して隠されました。その後、第二次世界大戦終結後には、当時の中華民国首都である南京に戻りましたが、1949年に内戦で国民党政府が敗北し、台湾へ逃亡することとなり、その際に南京にあった宝物も一緒に台湾に渡りました。こうして、元々は北京の故宮にあった宝物が、年月をかけて台湾に渡ったのです。
故宮博物院には様々な方法でアクセスが可能ですが、ここでは3つの方法を紹介します。
MRT淡水信義線の「士林駅」1番出口正面のバス停より、紅30、小18、小19、255、304、815の公共バスに乗り「故宮博物院」で下車。バスの所要時間は約10分で、紅30のバスであれば、本館地下1階のエントランスホールまで乗り入れが出来ます。
台北中心部やMRT土林駅から乗車する場合の目安の料金を紹介します。
・台北中心部から:TWD 250~300(約892円~1,070円)
・MRT土林駅から:TWD 90~100(約321円~357円)
※2020年4月15日時点のレート:1元=3.57円
故宮博物院から帰る際には、本館地下1階のインフォメーションセンターで、タクシーを呼んでもらうこともできます。
主要観光地をめぐる真っ赤なオープンバス。赤ルートと青ルートの2路線があり、40分ごとに運行しています。青ルートの路線に故宮博物院が含まれているので、一日で台北市内を観光する場合にはおすすめです。
一般チケットは、350元(約1,249円)です。国籍を問わず18歳未満は無料で入場が可能です。国際学生証を持っている方などに割引があるので、公式ホームページで確認してください。
チケット売り場は1階の出入口を入って右側のカウンターにあります。一般チケットは事前にオンライン購入することも可能です。予約時間帯に入場ゲートからQRコードを機械にかざし入場することが出来ます。
日本語音声ガイドは150元(約535円)で貸し出しを行っています。パスポートが現金3,000元(約10,701円)を預ける必要があるので事前に準備が必要です。
開館時間は、8:30~18:30(金曜、土曜は21:00)までとなり、入場は閉館の30分前まで可能です。
※ 施設の開館時間は時期によって予告なく変更になる場合があります。訪問前には公式ホームページなどでご確認ください。
貴重な至宝が収蔵されているので、ルール、マナーを守って鑑賞しましょう。
一部展示室を除き、展示場では写真と動画撮影が可能ですが、フラッシュや照明器材、三脚、自撮り棒などの使用は禁じられています。
リュックサック、旅行カバン、スーツケースなど、A3サイズを超える身の回り品は、展示室内に持ち込みが出来ません。
チケット売り場のすぐ右にある、手荷物一時預り所とコイン返却式ロッカーを無料で利用できます。貴重品は預けず、持ち歩きましょう。
・車椅子とベビーカーは無料で貸し出しを行っています。
・展示エリアへ再入場を希望する場合には、チケットにスタンプを押してもらえば再入場可能です。
・館内は冷房が効いているので、羽織物の持参をおすすめします。
2015年12月に台湾南部の町、嘉義に「国立故宮博物院南部院区」が初めての分館としてオープンしました。「アジアとの交流」をテーマにしており、中国の文物以外にも、仏教芸術や茶文化など、アジア芸術文化をテーマにした作品が並んでいます。水墨画をイメージした外観も見どころのひとつです。
故宮博物院では、約2万点もの作品が展示されています。その中でも特に有名な作品のポイントを押さえましょう。
※ 巡回展への出品や展示品入れ替えのため、鑑賞ができない場合や、展示室が変更になる場合があります。展示情報は館内のガイドマップで最新情報をご確認ください。
緑と白の2色からなる天然の翠玉(翡翠)を彫り上げられた白菜のオブジェは、二大名宝のひとつです。製作は清の時代ですが、作者は不明で、清の時代の皇帝である光緒帝の妃の嫁入り道具だと考えられています。
サイズは、高さ18.7cm、幅9.1cm、厚さ5.07cmで、実際の白菜よりもかなり小さく作られています。白菜の緑の葉の部分には、子孫繁栄の象徴であるキリギリスとイナゴが彫られています。
翠玉白菜と共に人気を誇る作品で、二大名宝の一つです。層状になった天然石を彫って、豚の角煮を再現しています。清の時代に製作された彫刻で、サイズは高さ5.7cm、幅6.6cm、厚さ5.3cmでとても小さいですが、豚肉に見えるよう毛穴まで書かれた細かな加工は、まるで本物の角煮のような見た目です。
・展示場所:3階 302室
精妙な彫刻が施された象牙の球体。内部は24層に分かれており、彫刻が施されたそれぞれの層も回る仕組みになっています。一本の象牙から彫られている、120年かけて完成した、など諸説あり、制作方法や詳細は不明です。不思議な秘宝は一見の価値あり!
・展示場所:1階 106室
長さ3.4cmのオリーブの種に船の形を彫った作品。船の中には、船頭や舵取り、客など8人が乗船している様子が彫られており、窓の開閉も出来ます。細かくて精巧な造りを、ぜひ備え付けのルーペで鑑賞してみてください。
2019年に国宝にも認定された、故宮博物院でも人気が高い愛らしい幼児を写した北宋時代の作品です。サイズは高さ18.8cm、長さ31cm、幅13.2cmで、日常で使われた枕であると考えられています。似たような造型の作品は、現在知られている限りでは世界に3点しかない非常に貴重な作品です。
鼎(かなえ、てい)とは、なべ型の胴体に3本足がついている中国古代の青銅器です。故宮博物院にある毛公鼎は、約2800年前に製造されたと伝えられています。内側には500文字あまりの銘文が刻まれていて、現存する青銅器の文章では最長で、歴史的価値のある展示物です。
約7000坪の本格的な中国式庭園は、明、宋の時代の庭園をヒントとして造られています。故宮博物院の入場チケットの半券を持っていれば入園無料なので、博物院鑑賞後に美しい庭園を散策してみましょう。故宮博物院のチケットを持っていない場合には、20元(10元のコイン2枚)があれば入園可能です。
ミュージアムショップには、故宮博物院ならではのオリジナルグッズがたくさん販売されています。中国語がプリントされた3個セットのマスキングテープ200元(約714円)や、翠玉白菜と肉形石のレプリカのマグネット380元(約1,357円)など、お土産にもぴったりです。オンラインショップもあるので、事前にどんな物が売ってるかチェックしておくのもおすすめです。
ミュージアムショップ
広大な故宮博物院内には、カフェとレストランもあります。ランチや休憩にぴったりなカフェや、展示品をモチーフにしたメニューがあるレストランを紹介します。
図書文献ビル(第二展覧エリア)1階にあるカフェレストラン。食事も、ケーキやコーヒーなどのカフェメニューもあるので、お昼ご飯にも休憩にもぴったりです。
故宮博物院敷地内に併設された広東料理のレストランでは、料理の内容からテーブルウェアまで故宮博物院の展示品をモチーフにしています。翠玉白菜そっくりなスープ煮込みや、肉形石を再現した豚肉の角煮など、食事も目で楽しむことができます。
故宮博物院のエリア内に位置する台北故宮晶華はリージェントグループが運営するレストランです。メニューや建物の建築理念などに独自の特色を備えており、海外からの観光客や食通のお客様に中華の飲食文化と歴史を…
中国4000年の歴史を体感できる故宮博物院は、台北旅行でぜひ訪れたい観光スポットです。広い敷地内を効率的に巡るには、ベルトラで紹介している現地オプショナルツアーへの参加がおすすめ。日本語ガイドがいれば、中国の歴史や美術品に対する理解が深まること間違いなしです。
※1元=約3.57円(2020年4月15日時点)
※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。