台湾で最も早く開発され、今でも歴史的価値のある史跡を多く残す古都、台南。人口は189万人と大都市ではありますが、レトロな雰囲気と南国らしいゆったりとした時間が流れていることから、国内外の観光客から人気を集めているエリアです。
台湾エリアの基本情報をおさらいしましょう。位置関係や歴史のほか、観光拠点として人気の台北からの移動距離や交通手段も見ていきます。
台南は台湾南部に位置し、北回帰線を越えた熱帯圏にあります。台南市の中心街は「台南」駅の西側に開けた旧城内の周辺一帯です。駅の東側は國立成功大学のある市街地区と、台南運河を境に西に広がる安平地区に分かれています。
台北からアクセスするなら高速鐵道(新幹線)を利用するのがおすすめです。高鐵「台北」駅から高鐵「台南」駅までは毎日便が出ており、1時間30分ほどで到着できます。ただし、高鐵「台南」駅は郊外にあるため、駅から中心部へは高鐵と隣接する台鐵「沙崙(サルン)」駅から台鐵「台南」駅まで移動する必要があります。所要時間はおよそ25分です。
台鐵「台北」駅から台鐵「台南」駅を目指すことも可能ですが、3時間以上かかるので、時間に余裕をもって行動することをおすすめします。
高速鐵道の手配が不安な人は、ツアーをあらかじめ予約しておくこともできます。
台南は台湾で最も早くに開けた場所であり、かつて最初の首都が置かれた町でもあります。1624年に行政府が置かれてから1885年に首府(首都)が台北に移されるまで、台湾の中心地として栄えました。また、日本の統治下にあった1895年から1945年までの50年間は、当時の台湾政治の中心に台南が据えられていました。その影響もあって、現在でも当時建設された建物が数多く残っており、日本人にとって懐かしい風景が見られることも特徴です。
寺院や廟など史跡が数多く点在する台南を旅行するなら、古都の面影を見つけられるスポットがおすすめ。ここでは台南を旅行する際に外せない観光地を紹介します。
海安路にある神農街は、清代の面影が感じられる小路です。細い路地は石畳が復元され、かつて道路標識だった石塊が道路に埋め込まれています。今は住宅街ですが、絵になる街並みは歩いているだけでも楽しいはず。現地の人たちの間では若者に人気のスポットとしても知られており、インスタ映えする写真もたくさん撮れます。他にも素朴なギャラリーや派手な廟の薬王廟があり、見どころも多いのが特徴です。神農街付近は芸術家が集まる街としても知られ、アート横丁として注目を集めています。夜になると各店舗の提灯に明かりが灯り、昼間とは違った雰囲気に。
1624年にオランダ東インド会社によって建てられ、「ゼーランディア城」と呼ばれていた城塞の跡が安平古堡です。一度は火災で廃墟となり取り壊されましたが、日本統治時代に修復がはじまり、台湾復光後には現在の「安平古堡」に名を変えました。現在では観光地として親しまれています。敷地内には歴史資料を集めた2つの博物館と、かつては監視塔だった展望台があります。隅々まで見て回れば、あっという間に一日が終わってしまうくらい見どころの多い場所です。
台南で最も有名な場所といっても過言ではない赤嵌樓。1653年、オランダ統治時代に建てられたプロヴィンティア城が名を変えたのが今の赤嵌樓です。オランダ人が建てたことから、当時は紅毛城、赤毛城などと呼ばれていたそうです。その後、城の楼閣が天災により全壊。さらに激動する時代の中で政権が移り変わり、改築や取り壊しを経て現在の姿になりました。煉瓦でできた城門と基台はオランダ統治時代のものが残っており、当時の面影を感じることができます。
現在、楼閣は「海神廟」と「文昌閣」からなっています。これは清朝時代に建てられたもので、中国の楼閣建築の雰囲気も感じられます。文昌閣には赤嵌樓の修復に尽力した日本人、羽鳥又男の像も置かれています。
大天后宮は、縁結びの神様「月下老人」や、海の守護神であり万能の神でもある「媽祖(天上聖母)」を祀る寺廟です。国家一級古跡の大天后宮には、ご利益を求めてたくさんの参拝客が訪れます。海外から参拝に訪れる人もいるほど多くの信仰を集めています。
台南は美食の町とも呼ばれ、名物グルメが数多くあります。特に点心などの軽食のことを指す小吃(シャオチー)は絶対に食べたいローカルフード!食べ歩きするなら、屋台グルメを味わえる夜市に繰り出すのがおすすめです。
台湾は至るところで夜市が開かれていますが、台南の代表的な夜市の特徴は曜日ごとに開催場所が異なる流動型であること。4つの人気夜市と、開催時間について紹介します。
台南最大級の夜市「花園夜市」。木、土、日曜日のみ開催される夜市で、中心部から離れた海安路と和緯路の交差点にあります。台南で最も活気のある夜市といっても過言ではないほど、多くの人が訪れます。B級グルメがずらりと並んだ屋台の中には、テーブルのある屋台もあります。
ここでぜひ食べてほしいのが「牛肉湯」。これは台南地方の朝食として定番のメニューですが、夜市の屋台でも食べられます。新鮮な牛肉をスープにくぐらせて食べます。
台南駅の東側で、月、火、金曜日に開催される夜市です。周囲に学校が多いこともあり、学生たちの活気で賑わっています。台湾夜市の定番ゲーム「麻將賓果(マージャンピングゥォ)」、ファッションや雑貨を取り扱うお店もたくさんあります。目を引くのはタコを丸一匹放り込むダイナミックなタコ焼き屋さん。一度その目で実物を確かめてみてください。
水曜日と土曜日に開催される武聖夜市は台南の夜市の中でも古い歴史があり、1984年から始まったとされています。武聖夜市の特徴は、約2,400坪の土地に250軒にもおよぶ屋台が並ぶ規模の大きさと、他の夜市より洋服などの衣類やゲームなどの屋台が豊富な点です。子供服のお店も数多くあり、親子連れで訪れている地元の人の姿が目立ちます。もちろん食べ物を扱う屋台もたくさんあるので、がっつり食べ歩きをしたい人にもおすすめです。いろいろなお店がありますが、プニプニとしたお肉が特徴的な肉圓は、7個入って60元(214円)という破格のお値段で食べられるので、ぜひチェックしてみてください。
火曜日と金曜日に開催される小北成功夜市。特徴は何といってもローカルな魅力です。台南最大級といわれる花園夜市などと比較するとコンパクトな印象を受けますが、地元台湾の人たちで賑わっています。混み合いすぎてごった返すというほどではないので、人混みを避けて台南夜市のグルメを楽しみたい方には一押しの夜市です。とはいえ、「蚵仔煎(オアチェン)」(牡蠣入りオムレツ)や「鶏蛋糕(チィタンカオ)」(中華風蒸しパン)などの台湾名物屋台は行列ができるほど人気なので、賑わいを感じながら夜市を楽しめます。また、小北成功夜市のすぐ近くには小北観光夜市というよく似た名前の屋内夜市がありますが、間違えてそちらに行ってしまう人も多いので、迷わないように注意しましょう。
夜市の開始時刻は明確には決まっていないですが、だいたい夕方17時ごろからお店が開き始め、夜の20時~22時くらいがもっとも賑わいを見せる時間帯です。特に土日や祝日の前は観光客と地元の人たちで前が見えないほど混み合うことも。治安がいいとされる台湾ですが、貴重品の管理には十分に注意しましょう。公衆トイレもありますが、人が多いとこちらも混みますので、事前にお手洗いは済ませておくのが吉。また、夜市には手を洗う場所が少ないので、ウエットティッシュの持参が必須です。
※1元=約3.56円(2019年11月21日時点のレート)
移動に不安がある人、史跡を回るからにはより深く歴史について知りたいという人は、ガイド付きの現地オプショナルツアーに参加するのがおすすめ。ツアーなら、効率的に南部の主要観光地を回れます。台南の隣に位置する南部最大の都市「高雄」を一緒に観光できる周遊ツアーもご用意。ドライバー付きの貸切チャータープランを活用すれば、自分のスケジュールに合わせて自由に観光することもできます。ぜひチェックしてみてください。
※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。