日本から多くの人が旅行で訪れているタイには、たくさんの観光スポットがあります。かつて栄えていた王朝の遺跡群はどれも見事で、見応えがある場所ばかりです。バンコクなどの繁華街を楽しむのもよいですが、遺跡を訪れて歴史を感じてみるのはいかがでしょうか。タイで観光できる遺跡の場所や見どころ、おすすめの観光地について紹介していきます。
タイにはかつて王朝があったため、現在までさまざまな遺跡が残されています。ここからは、観光できる遺跡として有名なアユタヤ(Ayutthaya)遺跡群【アユタヤ歴史公園】、バンチェン(Ban Chiang)遺跡、スコータイ(Sukhothai)遺跡群【スコータイ歴史公園】について詳しく説明していきます。
アユタヤ遺跡群はバンコクから約76km離れたところにあります。バスかタクシーを利用して約1時間30分、電車の場合は約2時間で到着できるため、バンコクから日帰りで訪れる人も少なくありません。アユタヤ王朝時代に築かれた寺院跡や宮殿跡を見ることができる場所として人気を集めています。
アユタヤ王朝は1351年から1767年までの417年間存在した王朝で、ヨーロッパと東アジアを結ぶ国際貿易都市として17世紀に繁栄しました。ビルマ軍による攻撃を受けて多くの建物が破壊されましたが、遺跡群は現在歴史公園として整備されており、1991年に世界遺産に登録されました。
公園内にはいくつかの見どころがあり、遺跡が点在しているため、ツアーに参加するかトゥクトゥクを利用して名所を巡ることができます。ここからは、アユタヤ遺跡群の中でも特に名の知られている観光スポットを見ていきましょう。
ワット・マハータートは菩提樹の根に取り込まれた仏像の頭(仏頭)でよく知られています。かつての塔は高さ50mほどで、頂上が黄金の仏塔がありましたが、1767年のビルマ軍の攻撃により廃墟と化し、現在残されているのは礼拝堂の土台や崩れ落ちた壁のみです。寺院を建てた人物については2代ラーメスアン王と3代ボロムラーチャ―1世のどちらかとされていて、はっきりとはわかっていませんが、13世紀後半に建造されたといわれています。
ラーメスアン王によって1369年に建てられたワット・プラ・ラームは、ラーメスアン王の父、ウートーン王の葬儀が行われた場所とされています。現在は公園として整備されていて、園内にはウートーン王の命令により掘られたとされるブン・プラ・ラーム池が残されています。他に本堂や礼拝堂の後も残されており、夜にはライトアップした姿も見られますよ。
ワット・ロカヤ・スターラームには、高さ5m、全長28mを超える涅槃仏があります。涅槃仏とはお釈迦様が寝そべったような姿をしている仏像のことで、釈迦が入滅する際の様子を表しています。レンガで原型を造ったものが漆喰(しっくい)で固められており、現在は漆喰の一部がはがれているものの、かつては白い仏像であったことが想像できます。ビルマ軍に破壊されるまでは他にも建物が建っていたといわれていますが、今も残っているのは涅槃仏だけです。
1448年にトライローカナート王により建てられた王室専用の寺院で、かつては高さ16m、重さ171kgの黄金の仏像が置かれていました。現在残っているのは3基の仏塔のみですが、夜になるとライトアップされて幻想的な雰囲気が漂います。
バンチェン遺跡は、1992年に世界文化遺産に登録されています。バンコクから北東へ約60kmの町であるウドーンターニーにある遺跡で、アクセスするならスワンナプーム国際空港から飛行機でウドーンターニーへ向かわなければなりません。町から車で1時間ほどの場所にあるため、空港で車をチャーターしておいてもいいですね。車をチャーターするほか、町からバスで向かう方法もあります。
紀元前2500年から2000年のもので、農耕文化や発達した製陶技術を持つ文明が存在していたことが判明しています。
遺跡のすぐ横にあるバンチェン国立博物館は一般公開されており、遺跡から出土した土器や農耕用具が展示されています。土器は素焼きで、ベージュに赤茶のラインが引かれていてとても美しいものです。現在も伝統として受け継がれている土器は、一見の価値があります。
バンコクから北に約440kmの場所にあるため、スワンナプーム国際空港から飛行機に乗る必要があります。アユタヤ王朝より古いスコータイ王朝はタイ族最初の王朝で、スコータイ遺跡はスコータイ王朝時代に築かれた建造物が残されています。この遺跡も1991年に世界遺産に登録されました。
スコータイ遺跡群は200以上の遺跡が点在していて、「スコータイ歴史公園」「シーサッチャナーライ歴史公園」「カンペーンペット歴史公園」の3つのエリアに分かれています。各歴史公園の間は車で移動しなければならないほど離れているので、まずは有名な遺跡が多く残されているスコータイ歴史公園を訪れるのがよいでしょう。園内は広大なので、レンタサイクルかトラム(車両)の利用がおすすめです。ここからは、スコータイ歴史公園でおすすめの観光スポットを3つ見ていきましょう。
ワット・シー・チュムには高さ15m、幅11.3mのアチャナ仏が祀られていて、スコータイの象徴的存在です。アチャナとはバリ語で「動かぬもの」という意味で、ワット・シー・チュムの「シー」は菩提樹を意味し、かつて周囲が菩提樹の森だったことに由来しています。礼拝堂や本堂はラーマカムヘーン大王によって、大仏より後に建てられました。
ワット・サ・シーにはスリランカ様式の仏塔や礼拝堂、本堂が残されています。トラパン・トラクアン池に浮かぶ島に寺院が建てられていて、遠くには山が連なる様子が見えるため夕暮れの景色が美しい場所です。夜にはライトアップされるので、夕方に訪れて日が沈むのを眺めたあとに、夜の幻想的な雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか。
ワット・マハータートはスコータイ歴史公園の中で一番大きな寺院です。マハータートとは釈迦の遺灰や遺骨を指し、王朝ごとにマハータートを納める寺院が建立されます。現在寺院の境内に残されているのはアッタロット仏や坐像ヴィハーン跡などで、本堂のあったご本尊はワット・スタットに移されています。
スコータイ歴史公園だけでなく、シーサッチャナーライ歴史公園も訪れたいという人には、ワット・チャーンロームの見学がおすすめです。39頭の象の彫刻が飾られた土台があるスリランカ様式の仏塔は、細かな彫刻が見どころです。スコータイ歴史公園からは50km以上離れているので、車か路線バスでの移動となります。また、カンペーンペット歴史公園はスコータイ歴史公園から70km近く離れています。
観光地として有名な遺跡群ですが、タイの人にとって寺院は神聖な場所です。そうした神聖な場所だからこそ、ノースリーブや短パンなどを着ていると非常識だと見なされてしまうので、肌の露出が多い服装は控えましょう。男性の場合は半袖シャツに長ズボン、女性の場合は半袖シャツに長ズボンか、ロングスカートのような肌を露出しない服装を心がけてください。
肌の露出だけでなく、体のラインが目立つものも好ましくないので、半袖でも胸元が大きく開いた服や脚のラインがしっかりわかるタイトスカートはおすすめしません。暑くてどうしてもノースリーブや短パンを着たい場合は、寺院に入る際、カーディガンやスカーフで肌が見えないように工夫しましょう。
また、宗教上のマナーとして、大声で笑ったりジャンプをしたりすることも好ましくありません。遺跡を観光するのはとても楽しいことですが、現地の人々への配慮を忘れないようにルールとマナーを守りましょう。
タイの遺跡はそれぞれ特徴があり、どこを訪れても深い歴史を感じられ、楽しく過ごせるでしょう。とはいえ、現地の人にとっては神聖な場所でもあるので、マナー違反となる肌の露出や体のラインがわかるものは避けて、遺跡観光を満喫してください。
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