タイは日本から多くの観光客が訪れる国の1つです。アクセスがしやすく、観光スポットがたくさんあることや、おいしい料理を味わえることが人気の理由でしょう。ただし日本とは文化が異なるため、旅行に訪れる際には気をつけなければならないこともあります。タイの治安情報やほかの国との違い、起こりうるトラブルなどについて紹介します。
タイはカンボジアやマレーシアと国境を接しており、同じ東南アジアで括られていますが、文化などに違いがあります。まずはカンボジア、マレーシア、日本の文化の違いについて見ていきましょう。
カンボジアは人口の9割がクメール族で、公用語はクメール語です。タイやベトナムと接しているためタイ語やベトナム語を話す人も多く、かつてフランスの植民地だったことからフランス語を理解できる人もいます。一方タイは人口の約9割がタイ族で、公用語はタイ語です。植民地支配を受けていなかったため、独自の文化を築き上げました。
タイとカンボジアの国境にあるプレアビヒア寺院が世界遺産に登録されたことをきっかけに、国境問題に発展し、2008年には武力衝突が起きています。銃撃戦で民間人が犠牲になり両国の関係が悪化しましたが、現在の情勢は安定しています。
外務省の発表では、カンボジア国内は危険レベル1とされていますが、首都プノンペン周辺はスリやひったくり、強盗といった犯罪が多発する地域です。軽犯罪と考えていると思わぬ重傷を負ってしまうことも考えられますし、日本人観光客が巻き込まれる事件も発生しています。昼間は比較的安全なエリアでも夜の一人歩きは避けた方がよく、タイより治安が悪いエリアといえます。
マレーシアは多民族国家で、マレー系、中華系、インド系、先住民族などさまざまな民族がお互いを尊重しながら共に生活しています。公用語はマレー語ですが、英語や中国語を話す人も多くいます。タイやカンボジアは国民のほとんどが仏教を信仰している一方、マレーシアではイスラム教を信仰している人が6割を占めるため、街の雰囲気や建物がタイやカンボジアとは異なります。
マレーシアはスリやひったくり、置き引きが多く、歩行者が車から狙われることも。なお、島の北端であるサバ州の東海岸一帯は危険度レベル2~3になっています。外国人誘拐事件などが発生しているため、近寄らないようにしましょう。それ以外のエリアは比較的安全で、タイと同等の治安といえます。
日本もタイと同様に植民地支配を受けなかった国であり、独自の文化を築きました。国民のほとんどが大和民族で、公用語は日本語です。国教は定められていないので、無宗教の人が多いところがタイとは異なる点です。日本とタイは友好関係を維持しており、交流は600年にもおよぶといわれています。
日本の治安のよさは世界的にも有名で、治安の良い国ランキングではおおよそ6位くらいに入っています。外国人からも「カフェで荷物を置きっぱなしにして席を立っても盗まれる心配がない」とまで言われるほど。夜でも一人で外出でき、タイよりはるかに治安がよい国といえます。
日本の外務省が公表している海外安全情報によると、タイの大部分は危険0で安全とされています。しかし一部地域では危険度レベルが1~3に指定されているので、観光先を選ぶときには注意が必要です。危険度レベル1とは「十分注意してください」を指し、首都バンコクやプレアヴィヒア周辺がこれにあたります。危険度レベル2の「不要不急の渡航は止めてください」に指定されているのはタイ南部のソンクラー県、危険度レベル3の「渡航は止めてください(渡航中止勧告)」に指定されているのはタイ南部のナラティワート県、ヤラー県、パッタニー県、ソンクラー県の一部です。
バンコクが危険度レベル1に指定されている理由は、反政府デモや集会が頻繁に行われていて治安当局と衝突する可能性があるからです。プレアビヒア寺院周辺は、かつてカンボジア軍とタイ軍の衝突が発生したことが理由で危険度レベル1となっていますが、現在は沈静化しているので、訪れる予定がある場合は最新情報をよく確認してください。タイ南部の危険度レベルが高いのはマレーシアと国境を接していて、イスラム武装勢力による襲撃事件や爆破事件が頻発しているため。タイ南部に不用意に訪れるのはやめましょう。
タイは治安の悪い国ではありませんが、旅行中にトラブルが起きる可能性は十分にあります。タイではどのようなトラブルに巻き込まれやすいのか、具体例を見ていきましょう。
タイでは旅行中にタクシーやトゥクトゥクを利用する機会もあるでしょう。一般的なタクシーは走行距離をメーターで計測して運賃を請求するスタイルですが、なかには車が走り出す前に運賃を請求してくることがあります。行き先を告げただけで運賃を請求してくる場合はほぼぼったくりなので、きちんとメーターを利用してくれるタクシーを選ぶようにしましょう。トゥクトゥクでもぼったくりの被害に遭うことがあります。トゥクトゥクとは三輪タクシーのことで、タイでは近距離の移動によく使われる交通手段です。観光客に利用されることが多く、値段を高めに設定しているので、乗る前に必ず値段交渉をしましょう。言い値のまま乗ってしまうと、通常の2倍ほどの運賃を払うことになります。
スリや置き引きは観光地でよく起きるトラブルです。人混みを歩いているときに貴重品を盗まれることもありますが、一人が話しかけている間に別の一人が後ろから貴重品を盗むケースもあります。人混みの中を歩いているときだけでなく、人に話しかけられたときも油断は禁物です。また、バイクで追い抜きざまにバッグを奪われる事件も起きています。
宝石詐欺とは、宝石が安く買えると誘い出し、あまり価値のない宝石を高値で売る行為を指します。片言の日本語で近づいてきて、一見すると親切な人に見えてしまうので要注意です。路上を歩いているときに「宝石を安く買える場所がある」などと話しかけられたら詐欺を疑いましょう。
飲み物に睡眠薬を入れられて、眠っている間に財布などを盗む強盗事件が起きています。親切そうに話しかけてきた人とその日のうちに食事をすることになり、被害に遭うケースが多いです。食事中トイレに立つときは飲み物を空にする、自分の料理に何かを入れられていないか観察しておくといったことに気をつけて食事をしてください。
トラブルに巻き込まれること以外にも、タイ旅行では気をつけなければならないことがあります。文化の違いによる注意点もあり、あらかじめ知っていれば問題にならないものが多いので、事前によく確認しておくとよいでしょう。ここからは、タイ旅行での注意点について紹介します。
タイでは性犯罪が多く発生しています。特に女性は一人で夜間外出しないようにしましょう。ナイトマーケットなど大勢の人でにぎわっている場所では話しかけられる機会が増えるので、複数人で行くと安心です。運転手がわいせつ目的で人気のないところに連れ込んだり、ナイフや拳銃で脅したりしてくる場合があるため、タクシーに一人で乗車することもやめておきましょう。
現地の人々は「どのエリアが危ない」という情報を知っていることが多いので、宿泊先のホテルで現地のスタッフに、出歩く周辺に危険なスポットがないかをあらかじめ聞いておきましょう。
クレジットカードを盗まれてしまった場合、すぐにカードを止めなければなりません。あらかじめカード会社の連絡先を控えておきましょう。また、パスポートなどの盗難に遭ってしまったら、タイの日本大使館へすぐに連絡しましょう。パスポートのコピーや6か月以内に撮影した証明写真も用意しておくと安心です。
<在タイ日本国大使館>
住所:177 Witthayu Road, Lumphini, Pathum Wan, Bangkok 10330
旅券や証明書などの電話番号:02-207-8500 / 02-696-3000
日本からアクセスがよく、観光スポットもたくさんあるタイですが、トラブルに巻き込まれる可能性もあります。貴重品には十分気をつけて、親切そうに話しかけてくる人に安易に心を開かないようにしましょう。文化の違いを理解して、自分の身は自分で守るようにすれば、旅行は楽しいものになるはずです。
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