白凰時代であった680年、天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒を願って発願したのがきっかけで建設された寺院です。
残念ながら天武天皇は薬師寺の完成を見届けることはできませんでしたが、持統天皇が即位し新都藤原京に薬師寺が造営されました。
一時は天災や兵火が相次ぎ東塔を残して荒廃してしまった過去がありますが、昭和40年代から全国でお写経勧進を行い復興がされ現在の姿になりました。
天武天皇が皇后の健康を願って建立された薬師寺。697年に本尊薬師如来の開眼が行われ翌年には構作が終わり僧侶を住まわせたことが『続日本紀』に記されています。
当時は御堂の壮麗な姿を讃え「龍宮造り」と評されていましたが、歴史の中で多くの地震や火災でその姿は失われてしまいました。
その後1968年(昭和43年)、薬師寺の復興は高田好胤(たかだこういん)をはじめ人々の悲願となって、お写経を勧進してもう一度薬師寺を立て直そうという活動が始まりました。
お写経を通して「美しい心の再発見」を呼びかけ金堂を封切りに、西塔、回廊、大講堂などが次々と再建されており、今もなおその進行は続いています。
現在は法相宗大本山となり、古都奈良の文化財の一部として世界遺産にも登録されています。
お正月 1/1~1/8
春期 3/1~6/30
秋期 9/16~11/30
拝観可能場所:金堂、大講堂、東院堂、玄奘三蔵院伽藍
大人:1,100円
中高生:700円
小学生:300円
上記以外の期間
拝観可能場所:金堂、大講堂、東院堂
大人:800円
中高生:500円
小学生:200円
拝観時間:午前8時30分~午後5時(受付は午後4時30分までです)
近鉄西ノ京駅より徒歩約1分
(近鉄京都駅・近鉄大阪難波駅から大和西大寺経由 西ノ京駅まで約40分)
・西名阪郡山インターから:国道24号線を約6km北上し「柏木町」の信号を左折>約1km直進し「薬師寺東口」の信号を左折>県道9号線を約500m直進し西の京病院前信号を右折
・第二阪奈道路から:宝来インターを出て高架に入る>約500m直進し、薬師寺の標識に従い右分岐へ進む>「三条大路5丁目」の信号を右折し県道9号線を進む>約2km南下し、西の京病院前を右折
普通車 500円
自動二輪車 100円
大型バス 2,200円
マイクロバス 2,000円
※自転車については、無料駐輪場あり
平城遷都に伴い創建された金堂は僧侶であっても入堂は許されていなかったほど金堂は特別な場所であったことが 『今昔物語集』でも記されています。
「百万巻お写経勧進による薬師寺金堂復興」により、1976年(昭和51年)に現在の金堂が再建され内部には国宝に指定されている薬師三尊像をはじめ、貴重な仏像が安置されています。
薬師如来とは、正式名称を薬師瑠璃光如来といい、浄瑠璃浄土の教主となります。
人々の病気や災難を除き、健康や幸福を与える仏様として信仰されています。造立塔当初や金色に輝いていますが、何百年もの時を越え多くの人生を見届けていく過程で漆黒の姿に変わりました。
日光菩薩と月光菩薩:薬師如来の左右に凛々しく立っているのは日光菩薩と月光菩薩です。
太陽や月の光が、差別なく全ての人々に降り注ぐようにと人々を見守っています。
腰のくびれなど流れるような曲線美が光る三曲法が用いられており、とても人間らしく柔らかい雰囲気が特徴です。
御堂自体と堂内に収められている本尊である聖観世音菩薩像はともに国宝に指定されています。
御堂は東塔に次いで古い建物(鎌倉時代に再建されたもの)で見応えがありますが、回廊の外にあるので見逃さないようにご注意ください。
聖観世音菩薩像は白鳳時代を代表する仏像で世の中の悲しみや苦しみを聞いてくださると言われています。観世音菩薩には、千手観世音菩薩や十一面観世音菩薩など様々ありますが、特に変身しない本当のお姿という意味で、「聖観世音菩薩」と呼ばれています。
薬師寺は度重なる天災のため境内の多くの建造物が失われてしまいましたが、東塔だけは当時の姿のまま現存し、平城京で最古の建造物として今も名をその姿を残しています。
屋根は6つで六重ですが、内部は三層になっているため三重塔になります。屋根の大小が織りなすバランスは特に美しく「凍れる音楽」と評されるほどです。
東塔は今まで部分的な修理が行われていましたが、2009年より史上初の全面解体修理に着手しています。(2021年完了予定)
薬師寺には東塔とともに西塔も建立され、日本で初めて東西の2つの塔を建立した双塔式伽藍として有名です。東塔は創建当初から残っていますが、西塔は1528年に焼失してしまったため現在の塔は再建になります。再建の際には鮮やかな青凡の色や金色の飾りは復元され、東塔のもコントラストがより一層際立っています。
食堂(じきどう)は僧侶が定められた時間に食事をするための建物です。発掘調査によると、約300名が一堂に会する規模であったことが分かっています。
これた大変大きな規模であり、東大寺、大安寺に次ぐ大きさであることが『薬師寺縁記』にj記載されていました。
薬師寺では、昭和43年より白鳳伽藍復興のためのお写経勧進を行っています。
お写経とは、お経を一文字一文字を丁寧に書き写すことで心の安らぎになると言われている仏教修行です。単に寄付を募るのではなく、日本人の心の結晶として古から伝わるこの「お写経」という修行のひとつを現代の人々にも気軽に体験していただきたいという信念のもと白鳳伽藍復興を続けています。
薬師寺、薬師寺東京別院には道具を完備したお写経道場(椅子席)があります。事前予約不要ですので、参拝の機会に体験してみるのもいいですね。
幾多もの天災が相次ぎかつては焼失してしまった薬師寺でしたが、人々の祈願やお写経の勧進活動によって再建されたという、まさに人々の願いや信仰がかたちになった寺院と言えます。
当時のまま保存された東塔と対象的に、再建され色鮮やかな姿の御堂も数々あり、昔と今が繋がっていることを感じさせるようなお寺です。
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