松が青々と美しい矢田丘陵を背に、大和平野を広々と見渡す斑鳩の里に鎮座するのは、聖徳太子に縁が深い「法隆寺」です。
聖徳宗の総本山であり、別名「斑鳩寺」とも呼ばれています。
607年頃に建てられたとされるこの寺は、現在は金堂と五重塔などからなる西院伽藍と夢殿などからなる東院伽藍とに大きく分かれており、広い境内には飛鳥時代を始めとする各時代の建築物が並んでいます。
この記事では、法隆寺の代表的な歴史と見どころなどを中心に紐解いていきます。
この寺にゆかりのある聖徳太子は仏教を積極的に取り入れ、多くの寺を建立したと伝えられています。
そんな太子が法隆寺を建てたとされるのが607年頃(推古15年頃)。もともと601年に斑鳩宮という宮殿を建てその西方に法隆寺を含む4つの寺院からなる斑鳩伽藍郡が建設されました。
聖徳太子ですが、教科書にも必ず記される冠位十二階、憲法十七条、遣隋使の派遣など多くの政策を講じ国の発展に尽力しました。しかし、622年、49歳の時に人々の悲嘆のうちに亡くなってしまいます。
太子の没後も太子を慕う人々によって法隆寺は護持されていましたが、『日本書紀』には、670年(天智9年)に一屋余すことなく焼失したと記されています。しかし、まもなく再建が進められ遅くとも奈良時代の初頭までに復興されたと伝えられました。
なお、広さは18万7000㎡あり、西院伽藍は現存する世界最古の木造建築物群となります。
1993年には法隆寺は世界文化遺産に登録され、その境内にある建築物の多くは国宝にも指定されています。
これは、姫路城とともに日本国内で最初のユネスコ世界遺産であり、いかにこの寺院が歴史的、文化的、建築的にも評価されている場所であるかが伺えます。
最寄り駅からの交通
JR 法隆寺駅
徒歩約20分 または バス「法隆寺参道」行き 法隆寺参道下車
近鉄 筒井駅
王寺行バス「法隆寺前」下車 徒歩5分
無料駐車場は完備していないので、近隣の有料駐車場をご利用ください。
参考:近隣町営駐車場(料金:普通車 500円、大型バス 2,800円)
2/22~11/3:午前8時~午後5時
11/4~2/21:午前8時~午後4時半
西院伽藍内、大宝蔵院、東院伽藍内共通
個人料金(1名に付き)
一般1,500円 / 小学生750円
※境内は自由に見学可能です。
閉館時間間近は入れない施設がございますのでお時間には余裕を持ってお越しください。
金道は、西院伽藍最古の建築で、2階建ての入母屋造りの建造物です。
軒の出が長く二重になった屋根がその落ち着いた堂々たる雰囲気を醸し出しています。
瓦屋根と下層の裳階(もこし)の板葺きの対比は快いリズムを奏でているほか、軒下の組物には7世紀の建築様式が垣間見えるのが特徴です。
また、屋根を支える支柱に目を向けると昇り龍・下り龍が取り付けられているのが見つかりますが、これらは江戸期の大修理の際に付けられたものだそうです。
金堂内の広い須弥壇(しゅみだん)には、飛鳥彫刻を代表する釈迦三尊像をはじめ、各時代の国宝や重要文化財にしていされた複数の仏像が安置されています。
その一つひとつの表情や彫刻に深い意味があり、事前に勉強してから眺めるとより一層先代の人々の気持ちに近づけるかもしれませんね。
穏やかな微笑みのこの像の裏麺には、622年(推古30年)に聖徳太子が病で死去されるにあたり、その病気平癒と成道と願って造られた太子等身の像が止利仏師によって完成したことが刻まれています。
つまりこの像は、釈迦像であると同時に聖徳太子その本人の像でもあり、法隆寺が聖徳太子菩提の寺であることを改めて物語っていると言えます。(飛鳥時代 国宝)
金堂東の間に安置されている薬師像はその光背裏面の銘文に法隆寺創建の由来が刻まれています。そこには、聖徳太子の父親(用明天皇)の意志とそれを受け継いだ息子の聖徳太子ゆかりのストーリーが刻まれていました。(飛鳥時代 国宝)
金堂西の間に安置され、飛鳥の古様式を踏襲していますが鎌倉時代の写実性がみられます。(鎌倉時代 重要文化財)
金堂の内部には天人や鳳凰が舞っています。
三つの華麗な天蓋が吊り下げられており、それぞれ三つの間に仕切られていますが、天人は縦笛や琵琶を奏でていて鳳凰のくちばしは小さな穴が空いていて昔は飾りが付けられていたことが伺えます。(白鳳時代・鎌倉時代 重要文化財)
このほかにも、吉祥天、四天王像などの仏像が安置されています。
言わずもがな日本最古の五重塔で一見の価値ありです。
屋根は上層に行くほど小さくなり全体像は二等辺三角形に見えて安定感を与えています。
それぞれの軒を支える雲肘木はどれも精巧かつ優しくて、見る人を飽きさせずその技術に息を呑むことでしょう。
西院の東大門をくぐると正面に見えてくるのが、シンプルながらその八角形のかたちが印象的な夢殿。聖徳太子が住んでいたとされる斑鳩宮跡その遺徳をしのんで奈良時代に建設されたと言われています。また、中央の厨子には太子の等身と伝わる救世観音菩薩立像が安置され、聖徳太子信仰の聖地となっています。
建物のかたちは八角形ですが、外から見ると三面しか目に入りません。しかし、建物を支えている周囲の柱も八角形になっており、全体像をイメージしやすいでしょう。
五重塔や聖徳太子など、法隆寺のゆかりの絵が描かれた瓦せんべい。
横田福栄堂が製作しており、お土産屋などで購入することができます。
玉子をふんだんに使用した優しい味わいで、年齢に関係なくお楽しみいただけます。
他にも、鹿を型どった可愛らしい鹿サブレなども販売しています。
法隆寺を模したキーホルダーや聖徳太子をモチーフにした可愛らしいキーホルダーがあります。
拝観の思い出におひとついかがでしょうか。
法隆寺から徒歩数分のところにある和風カフェ「布穀薗」
幕末・維新期の尊攘運動家、明治期の司法官である北畠治房(きたばたけ はるふさ)が晩年隠棲していた屋敷を利用しています。奈良はもとより斑鳩の雰囲気、時間のゆったりさをお食事とともに堪能していただけます。
ランチにはお肉、野菜、季節の小鉢などボリューム満点のセットを数種類用意し、カフェタイムには大和抹茶のシフォンケーキや和菓子を大塩正人窯の伝統工芸品「赤膚焼」の食器で提供するというこだわりよう。
お食事のみならず、建物、インテリア、食器など全て味わい尽くしてタイムスリップしたような雰囲気をお楽しみください。
約150年の歴史を誇る柿の葉寿司の総本家「平宗」。
柿の葉寿司は奈良県はおろか関西を代表する郷土料理です。
奈良県産のお米ヒノヒカリのすし飯と産地にこだわって選びぬかれた新鮮な魚を柿の葉で包むというなんとも珍しいお寿司。
ほんのりと葉の香りを纏ったお寿司はお店でランチとしてご賞味いただけるほか、お土産箱も充実しています。
法隆寺東大門の土手沿いに佇むなんとも可愛らしい名前のカフェ。
イタリア語で”心地よい”という意味の「こもど」の店内は、ハンドメイド作家の作品を展示しておりギャラリーのような空間です。
古民家風の風合いと現代モダンを融合された手作り感溢れる店内では、カフェやランチを楽しむことができます。
カフェ・ランチ・てづくり雑貨販売
学生時代の歴史の教科書にも必ず登場する「法隆寺」。
誰もが知る聖徳太子とのつながりや、一度火災で倒れるも人々の願いのもと再建したエピソードなど、当時の人々の暮らしとは切っても切れないほどの大切な存在だったこと伺えます。
国宝や重要文化財の宝庫である法隆寺を、ぜひ改めて時間を取って昔に思いを馳せてみてください。
ベルトラでは法隆寺に関するおすすめツアーやアクティビティを紹介しています。是非チェックしてみてください!
※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。