山梨に次いでワイン生産量第2位を誇る長野県。「NAGANO WINE」と呼ばれ実力、ブランド力を共に兼ね備えたワイナリーが続々と増えています。今回は数あるワイナリーの中でも、おさえておきたい代表的なワイナリーをご紹介。また、ワイナリー巡りとともに訪れたい県内の観光スポットもご案内します。
長野県のワイン産地は信州ワインバレー構想によって4つの地域に分けられています。地域ごとに代表的なワイナリーを見ていきましょう。
※地域ごとのワイナリー数は2020年9月時点の数字です。
日照時間が長く雨が少ないうえ、土壌の水はけが良いという好条件が整った産地で、新設されるワイナリーも多い地域です。千曲川上流の佐久市から下流の中野市に位置します。県内では最も多い25軒以上のワイナリーを有するエリアです。
東御市内、標高850mの見晴らしの良い丘に佇むワイナリー。エッセイストであり画家の玉村豊男氏が「自ら飲みたいワインを造りたい」という想いのもと始め、オーナーを務めています。標高が高く昼夜の温度差が大きいため、ここで育つブドウは酸味や香りが強く、しっかりと色づくのが特徴です。世界に発信することを目指し、ブドウの個性を最大限に引き出した、産地のテロワール(地形や土壌、気象条件などの自然環境)を反映したワイン造りが行われています。2008年の洞爺湖サミットと2016年の伊勢志摩サミットでは、ヴィラデストの「ヴィニュロンズ・リザーブ シャルドネ」が各国の国賓に振る舞われました。
敷地内には素晴らしい景色を眺められるカフェが併設されていて、地元野菜や信州サーモンを使った料理をワインと共に楽しめます。美しい自然の中で、旬の食材とワインを味わう贅沢な時間を堪能してください。
>>アクセス:しなの鉄道「田中駅」または「大屋駅」にて下車。タクシーで10分。
ブドウ畑の風景を見ながら、そのブドウからつくられたワインを飲む。ガーデンを眺めながら、地元で採れたばかりの新鮮な素材を生かした料理を囲んで、楽しい時間を過ごす。
飯綱町に位置し、10ヘクタールに及ぶ自社畑を有するワイナリー。ペンション経営やジャム工房を手掛けていたオーナー夫妻が、ボルドーやブルゴーニュの田園地帯の自然に感銘を受けて開業しました。1988年からワイン造りを続け、ヨーロッパのコンクールでも高い評価を得ています。主要品種はシャルドネ。フラグシップである「サンクゼール・シャルドネ」やスパークリングなども造られています。
ブドウ畑と山々を眺められるレストランが併設されていて、美しい景色の中でワインと料理を楽しめます。こだわりのジャムや可愛らしい雑貨が並ぶショップも必見。ウェディング会場として使用されたり、ヨガやものづくりのイベントなども盛んに行われています。
>>アクセス:しなの鉄道「牟礼駅」にて下車。タクシーで5分。
農場から食卓へ。育てて作る、365日。
リンゴ農園として使用されていた3.7ヘクタールの荒廃農地を開墾し、2010年に設立したワイナリー。フランスや山梨、安曇野といった国内外のワイン産地で腕を鍛えた小山英明氏が造るワインで、入手困難なものもあるほどの人気を集めています。主にシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、メルローなどを栽培しており、目指すはブルゴーニュ地方のコート・ドールのように、千曲川周辺が日本の”黄金の丘”と呼ばれること。ワインスクールの解説や荒廃農地の開墾など、様々なことに取り組んでいます。
カフェレストランでは、自家製テリーヌや牛肉の赤ワイン煮、季節の野菜を使った料理に舌鼓。グラスワインだけでなく、安価な試飲サイズも頼めるので気軽にワインを楽しめます。定休日が変わることもあるので事前の予約がおすすめです。
>>アクセス:しなの鉄道「滋野駅」にて下車。タクシーで10分。
長野県東御市で葡萄を栽培しワインを造っている醸造家小山英明、Rue de Vin(リュードヴァン)公式サイト。
大リーグの球団職員などユニークな経歴を持つ蓮見喜昭氏が2010年に設立したワイナリー。ワイン特区制度が認められている東御市で小ロットの「日本一小さなワイナリー」からスタートし、シャルドネ、メルロー、ピノ・ノワール、日本固有種などの生産を行っています。
アクセスしやすい上田市に公式アンテナショップを持ち、併設されたカフェではワインと楽しみたい料理を提供しています。
>>アクセス:しなの鉄道「田中駅」にて下車。タクシーで10分。(アンテナショップはJR「上田駅」より徒歩10分)
国産ブドウ100%で作られる高級ワイン「ソラリス」を造っているワイナリーです。品種ごとに最適なテロワールで育成することにこだわり、年間の気温の移り変わりを考慮しながら最適な畑を選んでいます。
歴史的な街並みと自然豊かな環境が魅力的な小諸市に位置しているため、観光とワイナリー巡りをどちらも楽しみたい方におすすめのワイナリーです。ブドウ畑に囲まれた日本庭園や美しい地下セラーなど施設内の見どころも多いです。ショップでは試飲が可能です。
>>アクセス:JR「小諸駅」にて下車。タクシーで10分。
松本市から安曇野市周辺に広がるワイン産地。日照時間が長く水はけの良い土壌が広がる好条件により、古くから生食用ブドウの栽培が盛んな地域で、10軒近くのワイナリーを有します。
長野県内のブドウ栽培発祥の地といわれる山辺地区はブドウ栽培の好条件がそろい、熟練農家が揃っていることで味わいの豊かなブドウが多く収穫されています。山辺ワイナリーはこの山辺地区を中心に松本産ブドウのみを使用したワイン造りを行っています。
白ワインでは低温発酵を行い、赤ワインでは果皮の成分や香りをワインに定着させるピジャージュを行うなどこだわりの製法でしっかりとした味わいのワインに仕上げています。レストランが併設されており、ワインと共に美味しいお料理をお召上がりいただけます。開放的なウッドデッキもあり、のんびりとワインをお楽しみいただけます。
>>アクセス:JR「松本駅」にて下車。タクシーで10分。
2008年にオープンした南欧風の建物が美しいワイナリー。シャルドネ、メルローを中心に手入れの行き届いたブドウ畑が目前に広がります。常時4~5種類の銘柄を無料で試飲することができ、追加料金を支払えば限定蔵出しワインなどの試飲が可能です。『クリアできれいな味わいのワインづくり』をモットーにワイン造りを行っています。
ウッド調でブドウ畑を眺められるテラスやレストラン、特産品を揃えたショップもあり、お買い物も楽しめます。安曇野産の生乳を使用した「安曇野のむヨーグルト」も人気で、家族連れでも楽しめるワイナリーです。
>>アクセス:JR「一日市場駅」にて下車。タクシーで15分。
長野県産ワインの製造販売。信州安曇野の大自然の営みを醸す。長野県産ブドウを使ったきれいなワイン。ワイナリー見学、試飲も可。
長野県のほぼ中央に位置する塩尻市を流れる奈良井川と、その支流に挟まれた一帯に広がる地域です。洪水量が少なく寒暖差がある気候で、標高が高いため比較的冷涼です。15軒以上のワイナリーを有します。
1911年創業、開園100年となる老舗ワイナリー。開園当初はブドウ、梨、リンゴなどを栽培する果樹園としてスタートしました。8年後の1919年からワイン専用ブドウの栽培に挑戦し、長年の試行錯誤を経て桔梗が原の地にメルローを根付かせました。
五一ワインのモットーは万人の味覚に合わせたワインではなく桔梗が原ならではの自然の味と香りを提供すること。また施設内には創業者の林五一氏が初めて長野に導入したといわれる樹齢50年にもなるメルローの古木があります。今もなおブドウを実らせるこの古木は五一ワインの見どころの1つとなっています。
>>アクセス:JR「塩尻駅」にて下車。タクシーで5分。
1933年創業のワイナリー。創業以来栽培から瓶詰めまでを一貫して手掛けている本格派ワイナリーです。桔梗が原の特産でもあるコンコード種やナイアガラ種で造られるワインは親しみやすい飲み口で、初心者にもおすすめです。またワイン専用品種の栽培にも早くから取り組んでおり、本格的な高級ワインからデイリーワインまで幅広く評価を得ています。
広大なブドウ畑に囲まれたワイナリーではシャルドネやメルローなど30種類以上の試飲とショップでの買い物が楽しめます。
>>アクセス:JR「塩尻駅」にて下車。タクシーで5分。
現社長の曽祖父の代から4代続くワイナリー。2006年の国産ワインコンクールでの金賞受賞、「信濃桔梗ヶ原メルロー・バリック2006」がANAのファーストクラスに搭載される唯一の赤ワインに選ばれるなど評価の高いワインを多く生み出しています。
ワイナリー併設のショップ内での試飲ができるほか、クラシック音楽を流してワインの熟成を促すユニークな取り組みで話題のセラーも見学可能。ろ過する前のワインの美味しさを味わえる濁りワインなど珍しいワインも楽しめるワイナリーです。
>>アクセス:JR「塩尻駅」にて下車。タクシーで6分。
長野県塩尻市にあるワイナリー。信州桔梗ヶ原の自社畑と契約畑の新鮮で安全なぶどうから、手造りの薫り高い逸品を真心込めてつくっています。
長野県南部の天竜川沿いに広がる盆地周辺の宮田村や松川町に位置するワイン産地。気候は天竜川沿いが温暖で、山麓は比較的冷涼です。古くから果樹栽培が盛んな土地ですが、ワイン産地としてはこれからの成長を期待されるエリアで、5軒近くのワイナリーを有します。
リンゴ栽培を営んでいた5軒の果樹農園を中心に1991年に設立されたワイナリー。ヤマブドウのワインやリンゴのワインなど小規模ながらユニークに富んだランナップが魅力です。ワイン専用品種の栽培も行っており、カベルネソーヴィニヨンとメルローをブレンドした赤ワイン「まし野ルージュ」は長野県原産地呼称管理制度(NAC)にも認定された本格的な仕上がりです。
直営ショップではワインだけでなく巨峰やラ・フランス、ブルーベリーなどのジュースも売られていて、試飲をお楽しみいただけます。
>>アクセス:JR「伊那大島駅」にて下車。タクシーで15分。
ウィスキーの蒸留所として1985年に設立された信州マルス蒸留所。近年日本古来のヤマブドウとカベルネソーヴィニヨンを交配したヤマソーヴィニヨンのワイン醸造に注力しています。2003年には「信州駒ヶ腹ヤマソーヴィニヨン」が長野県原産地呼称管理制度(NAC)に認定され、国産ワインコンクールでも入賞を果たしています。
併設ショップではワインだけでなくウィスキーや梅酒などの試飲もお楽しみいただけます。醸造所見学はウィスキーの製造工程、地ビールの製造工程の見学が可能です。
>>アクセス:JR「駒ヶ根駅」または「宮田駅」にて下車。タクシーで10分。
せっかく長野へワイナリー巡りに行くなら周辺の観光スポットも訪れておきたいところ。各ワインバレー周辺でアクセスできる人気観光地を紹介します。
長野に行くならおさえておきたい定番スポット「善光寺」。性別、宗派を問わずあらゆる信徒を受け入れてきたため江戸時代には『一生に一度は善光寺参り』というほど多くの人々が参拝に訪れました。参道は地元の名産品などのお店でにぎわい、散策が楽しいスポットでもあります。
>>アクセス:JR「長野駅」にて下車。路線バスにて約15分。「善光寺大門」より徒歩5分。
>>周辺のおすすめワイナリー:サンクゼールワイナリー(車で約35分)
神話に基づいた聖地として知られ、日本有数のパワースポットでもある戸隠神社。神話で語られる「天岩戸開きの神事」で功績があった神々が祀られる奥社、中社、宝光社、火之御子社(ひのみこしゃ)の4社に、農耕の神が祀られる九頭龍社が加わった5社からなり、5つの神社を巡る戸隠5社巡りをしながら古道を歩くのが人気です。訪れた際にはご当地グルメ、名物戸隠そばも外せません!
>>アクセス:JR「長野駅」にて下車。路線バスで1時間。
>>周辺のおすすめワイナリー:サンクゼールワイナリー(車で約40分)
千曲川ワインバレーの南部から近い、言わずと知れた人気別荘地軽井沢。異国情緒あふれる「旧軽井沢銀座通り」で食べ歩きをしたり、癒しの景勝地「雲場池」を訪れてみたり、マイナスイオンを感じられる「白糸の滝」など見どころ満載です。ワイナリー巡りとともにおしゃれな街並みを楽しみたい方にピッタリのエリアです。
>>周辺のおすすめワイナリー:ヴィラデストガーデン&ファーム(車で約50分)
長野県内でも世界各国の旅行者に人気なのがこの地獄谷野猿公苑。世界中にいるサルのなかでも温泉に浸かるのはニホンザルだけのようで、温泉でくつろぐ愛らしい姿を観察できるとあって多くの観光客が訪れます。特に冬は雪の綿帽子をかぶりながら温泉に浸かる「スノーモンキー」に出会えるため多くの人で賑わいます。
>>アクセス:長野電鉄「湯田中駅」にて下車。路線バスにて15分。「上林温泉」から徒歩35分。
>>周辺のおすすめワイナリー:サンクゼールワイナリー(車で約40分)
日本有数の山岳リゾート「上高地」。穂高連峰がそびえるこの場所では、美しい景色を見ながらのトレッキングやハイキングが人気です。河童橋から眺める山々は美しく、フォトジェニックスポットとしても話題です。
上高地でのトレッキングを楽しんでから1泊してワイナリー巡りなど、ゆったりと長野を満喫する大人の旅におすすめです。
>>アクセス:JR「松本駅」にて下車。路線バスで約1時間30分。
>>周辺のおすすめワイナリー:安曇野ワイナリー(車で約45分)
長野を代表する観光スポットの1つであり、日本アルプスワインバレーに位置する松本城。1504年に深志城として築城されて以降、城主が入れ替わりながらも松本のシンボルとして受け継がれてきました。天守が国宝に指定されている国宝5城の1つで、黒漆と白漆喰のコントラストが美しいお城です。石落(いしおとし)と呼ばれる開閉式の窓や、外からは見えない隠し階など面白い見どころも多いので近くに来たなら立ち寄りたいスポットです。
>>アクセス:JR「松本駅」にて下車。徒歩15分。
>>周辺のおすすめワイナリー:山辺ワイナリー(車で約10分)、安曇野ワイナリー(車で約30分)
映画『君の名は。』の名シーンの風景に似ていると話題になった諏訪湖。隣接する立石公園からは、映画で見た景色に出会えるとあって多くの観光客が訪れています。
夕日や夜景観賞の名所でもあるので、ロマンチックなワイナリー巡りとともに訪れたい場所でもあります。展望デッキから望む湖の大パノラマは思わず息をのむ美しさです。
>>アクセス:JR「上諏訪駅」にて下車。タクシーで15分。
>>周辺のおすすめワイナリー:井筒ワイン(車で約35分)、五一ワイン(車で約40分)
天竜川ワインバレーが位置する伊那市と大鹿村の間に位置する分杭峠。標高1,424mの山中にあるためアクセスしやすいとは言えませんが、「ゼロ磁場」と呼ばれる特殊な環境になっておりエネルギーが凝縮する世界でも有数のパワースポットとされています。ワイナリー巡りと共に分杭峠でパワーを充電する旅はいかがでしょうか。
>>アクセス:JR「伊那市駅」にて下車。タクシーで55分。
>>周辺のおすすめワイナリー:信州マルス蒸留所(車で35分)
日本有数の大山脈である日本アルプスや日本一長い川として知られる信濃川を有する長野県は、大自然の魅力にあふれています。また軽井沢や松本市など歴史を感じながら散策を楽しめるエリアも充実しています。ワイン産地としての長野を巡りながら、今回ご紹介した長野県の観光スポットにもぜひお立ち寄りください。