建仁寺(けんにんじ)は京都五山の第三位に認定されている格式高いお寺で、京都最古の禅寺とも言われています。多数の重要文化財や「風神雷神図屏風」などの優秀な日本美術を保有していることもあって文化的な一面が強く、五山文学と呼ばれる文学体型も作り出したため、「学問面(がくもんづら)」とも呼ばれています。見どころたくさんの建仁寺に、行く前に絶対知っておきたい歴史と基本情報、周辺のおすすめグルメを徹底解説します!
建仁寺は臨済宗建仁寺派の大本山で、1202年(建仁2年)に臨済宗を日本に伝えたとされる明庵栄西禅師(みょうあんえいさい、ようさいとも)を開山として建立されました。当時の元号に由来して「建仁」を寺号とし、山号を東山(とうざん)と称しました。鎌倉幕府2代将軍であった源頼家が寄進し、伽藍は宋(当時の中国)にある百丈山を真似て作られたといいます。京都での臨済宗の拠点として利用されていましたが、1246年(寛元4年)と1247年(寛元5年)、1256年(建長8年)に火災にあい、境内は焼失し荒廃してしまいました。1258年(正嘉元年)に東福寺開山の円爾(聖一国師)が仏殿などを復興し、翌年の1259年(正元元年)には宋から渡来した建長寺開山の蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が入寺。創建当初は、天台宗、密教(真言宗)、禅の三宗兼学だった建仁寺を、禅の作法などを修行する本格的な禅宗道場としました。
1573年から1592年にかけて、毛利氏の外交僧として豊臣秀吉との交渉も行っていた安国寺恵瓊(あんこくじえけい)が1599年(慶長4年)に方丈や仏殿を移築し、応仁の乱などの戦乱によって衰退していた建仁寺が再興されました。その後、徳川幕府の援助のもと学問などが整備され、詩文芸術に秀でた禅僧を多数排出し、一休さんの愛称で親しまれる一休宗純も建仁寺で作詩を学んだと言われています。
その後廃仏毀釈が制定されたことにより、境内の規模が縮小し、現在の形となりました。
住所:京都府京都市東山区大和大路通四条下る小松町
建仁寺の最寄り駅は京阪電車「祇園四条駅」と阪急電車「河原町駅」です。祇園四条駅からは徒歩7分ほど、河原町駅からは徒歩約10分のところにあります。
JR京都駅からのアクセスには市バスの利用が便利です。「京都駅前」バス停から206系統に乗車し、「東山安井」バス停で下車。もしくは100系統に乗車し「祇園」「清水道」バス停で下車。「東山安井」からは徒歩約5分、「祇園」「清水道」からは徒歩約10分ほどの距離にあります。
拝観料は大人600円、中高生300円、小学生200円です。小学生未満のお子様の拝観料は無料です。
拝観時間は10:00~17:00です。所要時間の目安は約30分~40分ほどですが、見学の仕方によってかかる時間は前後します。閉館の30分前の16:30には受付終了となりますので、余裕を持って訪問するのがおすすめです。
ユニークな顔立ちの風神雷神と、光り輝く金箔のインパクトで有名な「風神雷神図屏風」は、二曲一双の大きな屏風です。大書院に展示されているものは高精細複製品で、原本は京都国立博物館にて保管されています。
作者は江戸時代の大画家であり、琳派の祖とも呼ばれる俵屋宗達。大胆に配置された風神と雷神は、鑑賞者の視線をうまく誘導し、体験する芸術として成立しています。また金箔を敷き詰めた余白は「無限の空間」を表現し、金箔の上に描かれた雲は、「たらしこみ」の技法が使われています。この技法は宗達が初めて日本画に用いたと言われており、乾く前の絵の具に別の色を重ねて意図的に「にじみ」をつくることにより、雲の質感を表現しています。彼の最高傑作とも言われるこの作品は国宝に指定されており、境内では風神雷神図をあしらった御朱印帳も販売され、根強い人気を博しています。
建仁寺の法堂(はっとう)は拈華堂(ねんげどう)とも呼ばれ、仏殿を兼ねた禅宗様の仏殿建築で、1765年(明和2年)に建設されました。本尊の釈迦如来坐像と脇侍迦葉尊者、阿難尊者が安置されています。
天井には日本画家の小泉淳作による「双龍図」が描かれています。この天井画は建仁寺の創建800年を記念し、2002年(平成14年)に約2年の歳月をかけて完成されました。2頭の「阿吽」の龍が絡み合うように描かれたこの天井画は畳108枚もの大きさにおよび、圧巻の迫力があります。この双龍図が表紙を飾る御朱印帳も人気です。
建仁寺の方丈は、安国寺から移建された禅宗方丈建築で、重要文化財に指定されています。本尊は東福門院寄進の十一面菩薩観音像です。内部にはかつて全50面の襖絵からなる水墨画の障壁画群「建仁寺方丈障壁画」が飾られていました。作者は海北友松(かいほうゆうしょう)で、安土桃山時代の作品と言われています。「竹林七賢図」16面、「琴棋書画図」10面、「雲龍図」8面、「山水図」8面、「花鳥図」8面で構成されており、すべてが重要文化財に指定されています。
中でも8面からなる「雲龍図襖」は、当時方丈に招かれた客人が最初に通される部屋「礼の間」に飾られており、雲間から現れる龍が力強く描かれています。水墨画の龍は友松の得意な題材で、8面という大画面に余すことなく描かれたこの作品は、その中でも抜きん出た逸品であると言われています。現在建仁寺に飾られている襖絵群は創建800年の節目に作成された高精細複製品で、原本は京都国立博物館に保管されています。
建仁寺は優秀な枯山水庭園が複数楽しめるお寺でもあります。まずご紹介するのは「大雄苑(だいおうえん)」。この方丈前庭は、法堂の門を中心に構成されています。方丈が再建された折に、昭和の庭師、加藤熊吉氏により作庭された枯山水式庭園です。織田信長の弟である織田有楽斎(おだうらくさい)が、信長の供養に建立した石塔や赤松が白川砂の砂紋のうえに配置されています。
2つ目は本坊の中庭として2005年に公開された「潮音庭(ちょうおんてい)」。平成生まれの枯山水で、四方正面の禅庭です。苔と紅葉がとくに美しいと高く評価をされています。本坊のどこからでも鑑賞できるため、様々な角度から鑑賞することでいろんな表情を楽しんでみてください。
最後は同じく本坊にある「○△□乃庭(まるさんかくしかくのにわ)」。禅宗の四大思想である「地水火風」が庭という形で表現されています。井戸は□で「地」、苔は◯で「水」、白砂は△で「火」を表しています。
建仁寺では、毎月第2日曜日に座禅体験ができる「千光会」が催されています。参加費は無料で予約も不要なので、初めての方でも気軽に参加できます。坐禅が終わったあとはお経を唱和し、お坊様からの法話を聞くことができます。時間は7:30から約2時間ほど。由緒正しい禅寺での坐禅、早朝に訪れることがあればぜひ体験してみてください。
四頭茶会(よつがしらちゃかい)は四頭茶礼とも呼ばれ、中国から栄西禅師が鎌倉時代に日本へ持ち帰ったとされている、伝統的な茶会です。現在の茶道の原型となったと言われています。貴族のもてなしとしても行われるこの茶会は、縁高に入った紅白のお菓子と天目茶碗という上質な陶器製の茶碗でお茶がふるまわれます。京都市登録無形民俗文化財に認定されている四頭茶会には、予約をすることで、一般の方でも参加ができます。
他にも建仁寺には秀吉が北野大茶会を催し、千利休の高弟が好んだと伝えられる茶室東陽坊があるなど、茶道にゆかりが深い場所となっています。
両足院は建仁寺塔頭寺院で、半夏生(はんげしょう)で有名です。半夏生は初夏に緑の葉が一部白くなり、花のように美しく愛でられています。通常は一般非公開となっていますが、半夏生の見頃には方丈、書院、庭園などが特別公開されます。またかわいい虎の形の「寅みくじ」も人気です。
住所:京都市東山区大和大路四条下ル小松町591
京都東山区祇園の両足院では坐禅(座禅)体験を行っています。拝観については年に数回、期間限定で特別公開を行っております。また、修学旅行・会社研修の受け入れ、各種催し会場として利用をご希望の方のご相談も…
花見小路通は四条通を中心に、三条通から建仁寺まで続く祇園のメインストリートとも言える通りです。紅殻格子や犬矢来をあしらった、古都京都らしい趣き深い建物が立ち並んでいます。特に建仁寺周辺は石畳が敷き詰められた通りになっていて、祇園らしい雰囲気を味わえます。
住所:京都府京都府京都市東山区祇園町南側
安井金比羅宮は縁結び、縁切りで有名な神社です。668~671年に藤原鎌足が一堂を創建したことに始まります。身代わりのお札に願い事を書き、それを持って「縁切り縁結び碑」をくぐり、そのお札を碑に貼り付けるという、ユニークな縁結び方法が知られています。
住所:京都府京都市東山区東大路松原上ル下弁天町70
八坂神社は祇園のの顔とも言える、西楼門が有名な神社です。平安時代以前に創始されたといわれる歴史の深い神社で、疫病退散、無病息災のご利益があるとされています。日本神話で重要な神様である「スサノオノミコト」を本尊に祀っている神社の総本社であると言われています。
住所:京都府京都市東山区祇園町北側625
旬のお魚を使った刺し身や焼き物、天ぷらなど、たくさんのおばんざいが楽しめる京料理のお店。ランチの彩御膳は2000円、きらら御膳は3000円と、ボリュームもあって比較的安いので、気軽に祇園の料亭料理を楽しむことができます。
住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-232
お米がおいしく食べられる和食がいただける「米料亭」。オリジナルで開発された土鍋で、常に炊きたてのご飯がいただけます。ランチにはお造りや親子丼など、白米がおいしく食べられるお膳のメニュー、ディナーにはライスワインやお米を使ったソース、寿司などお米を存分に味わうことができるコースメニューがあります。
住所:京都府京都市東山区祇園町北側296
豆腐料理をメインに懐石料理を楽しむ事ができる料亭です。湯豆腐や田楽などに加え、旬の食材を使った本格的な京料理をいただけます。築150年の町家をリノベーションした内装は、祇園らしい雰囲気を残しています。ベジタリアン向けのコースもあり、多様な食のオプションに対応しています。
住所:京都府京都市東山区東大路通松原上ル4丁目毘沙門町38-1
建仁寺周辺には祇園や八坂神社、高台寺などの魅力的なスポットがたくさん。どのスポットも歴史が深く、土地勘がないと移動は大変ですよね。そんな方には人力車での観光がおすすめです。現地情報を知り尽くした車夫さんが歴史やおいしいもの情報、おすすめの観光ルートなど、京都観光をもっと楽しめるように案内してくれます。初めて京都に来る人も、何度も来たことがある人も、人力車に乗ってガイドを聞きつつ、普段より高い視点から京都の街を楽しむ事ができます。他にも、祇園のお茶屋で舞妓体験や着物レンタルなど、VELTRAでは旅行がもっと楽しくなる現地オプショナルツアーをたくさんご紹介しています。ぜひ一度チェックしてみてください!
※交通機関や施設の料金、時間等は予告なく変更になる場合があります。最新情報は公式サイトも合わせてご確認ください。