魅惑のMorocco③~Fes~
モロッコに長く住んだことがあるフランス人の友人がこう言っていた。「マラケシュはおもしろいけれど、観光地化しすぎている。フェズはもっとローカルの人々の生活を見ることができるし、本当のモロッコが感じられるよ」と。
旧市街の入り口で、滞在予定のホステルのスタッフと落ち合った。後ろに続いて奥へと進んで行く。中はとても入り組んでいて、道とは言えないような路地、細い道がはりめぐされていた。右にまがり左にまがり、またまがる。今来た道を一人で戻れと言われても絶対に辿り着けない。両脇にはじっくり立ち止まってみたいお店が並んでいたが、まずはスタッフを見失わないようにと着いていく。やっとの事で着くと、マラケシュのリヤドと同様、吹き抜けの広いロビーと砂糖たっぷりのミントティーが私を待っていた。
フェズのメディナ(=旧市街)は迷路と言われている。そういわれる理由は既に実感していたが、散策してより納得した。この時ばかりは地図は当てにならない。元来た道に戻れたらラッキー、とりあえず同じ道を何回も通り過ぎては笑いあった。そして友人が言っていた言葉を思い出した。なるほど、広場では服や靴、日用品のお店が並び、現地の人がたくさん買い物をしていた。マラケシュでは不思議とあまり会うことのなかったモロッコ人の女性が買い物する姿も普通に見ることができた。
そしてフェズに来たのなら行っておきたい場所がある。タンネリというなめし革染色職人街である。500年前から同じ製法を維持し続け、一つ一つを手作業で行い、良質な革製品を作っている。
フェズは昔ながらの伝統を守る落ち着いた街という印象を受けた。京都と似たような古都といったところだろうか。