30歳手前の僕・原点回帰の旅 ~南アフリカ・クルーガー国立公園~ ③

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滞在2日目・怒るゾウ、間近のヒョウ、そして日が暮れる


サファリの朝は早い。
まだ日が昇らない5:30には、レンジャーがドアをノックして起こしてくれる。
昨晩からたしかに冷えていたが、朝はもっと寒く、日本なら真冬のような恰好だ。出発前にいただけるあったかいコーヒーがありがたい。

日の出と同時くらいに、2日目の朝のサファリが出発した。遠く東の空から少しずつ明るくなる空に、1日の始まりを実感する。本来は日本でも、僕の住む世田谷でも、こうして毎朝、朝日は昇っているはずだ。なのになぜ、ここで見る朝日は特別なんだろう。

冷たい空気を切って進むサファリは、太陽が高くなるまで正直、ガタガタ震える寒さだった。寒さ対策で配られた毛布と湯たんぽが本当にうれしい。

今回のサファリで、まず出会ったのは、サイの親子。水たまりの水を飲むお母さんと、その周りを駆け回る子供。無邪気なサイの子供は、今にもランドクルーザーに駆け寄って来そうだ。お母さんが満足するまで水を飲めたのか、僕らの車の目の前をゆっくり歩き、親子は茂みの中へ消えていった。

そろそろ日差しも高くなり、気温も上がってきた朝7:00頃に出会ったのはゾウの家族。彼らを挟んで反対側にいた別のサファリグループに子ゾウが近寄ってしまったらしい。子供なりの威嚇か、何度かパオーンと鳴いていた。そんな家族の姿を観察していると、子供の声に反応したのか、母親が僕らの車に近づいてきた。今にも突進しそうに怒る母ゾウの気迫。レンジャーは素早い判断でランドクルーザーをまっすぐ走らせ、母ゾウの視界から逃げ切った。おとなしいゾウがビッグ5と呼ばれる理由が、よくわかる出来事だった。レンジャーによれば、大きなランドクルーザーでも、ゾウのひと蹴りでぺしゃんこになってしまうそうだ。

そうこうしているうちに、朝の「サンダウナー」の時間。広大、壮大、としか表現できない自分の語彙力の無さが悔しいが、とにかく広いアフリカの大地を眺めながら、レンジャーの作ってくれるアマルーラコーヒーとスナックをいただく。朝8:00頃、既にこの時間は暑いくらいだ。出発前の凍える寒さが嘘のよう。

僕らのこぼしたスナックのかすを狙ってか、きれいな鳥たちが近寄ってきた。

帰りがけ、最後のビッグ5であるライオンの群れがいるとの情報がレンジャーに届いた。早速、行先をライオンへ変更。目の当たりにした野生のライオンたちは、昇りきった太陽を避けるように、木陰に横たわって寝静まっている。しぐさは本当に猫そのものだ。

獰猛なライオンのかわいい姿をそっと楽しんで、2回目のサファリを終える。なんと2回のサファリでビッグ5すべてと出会えたことに、クルーガーのポテンシャルの高さを感じずにいられない。

ホテルに戻ったら、朝食、ランチを挟み、夕方まで自由時間。思ったより冷たく気持ちの良いプールで泳いだり、早起きした分を取り戻すようにベッドで寝てみたり。2度のサファリの思い出を振り返る写真整理もこの時間だ。コーヒーを入れて外のテラスに座ると、夢のような時間を現実に過ごしていることに改めて感動する。そんな僕を笑うように木の上の猿が鳴いた。まるで、東京の生活の方が夢だったみたいだ。

15:30からハイティーを楽しみ、3回目のサファリへ出発する。ビッグ5を制覇した僕らの次のお目当てはキリンとカバ。「OK!OK‼」と言って運転をはじめ、すぐにキリンを見つけるあたり、レンジャーの技量の高さには感心するしかない。走っている車から、どうやってキリンの影を見つけられるんだろう。。

高いところの葉っぱをのんびり幸せそうに食べるキリンを眺めていると、こっちまで幸せな気分になってくる。

次はカバの予定だったが、木の上にヒョウがいるとの報告が無線で届く。昨日よりもっと近くヒョウが見られるらしい。
相談の結果、カバをあきらめてヒョウを目指すことに。なんという贅沢な選択。

たどり着いた先のヒョウは、木の上で気持ちよさそうに寝ていた。おなかが膨らんでいるから、きっと、インパラか何か、野生動物を食べた後なんだろう。



しばらく観察していたら、ヒョウが歩き始めた。僕らのランドクルーザーの真横を歩き去り、今晩の狩りへ向かうようだ。今立ち上がったらヒョウに噛まれて死ねる。そんなワイルドな恐怖を感じながら、なんとかカメラのシャッターを切る。

音もなく静かに歩くヒョウを追いかけていたら、いつの間にか暗くなっていた。

わずかな夕日と星空を楽しむサンダウナー。そして夢のような1日が終わっていった。

<  to be continued ... >

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