30歳手前の僕・原点回帰の旅 ~南アフリカ・クルーガー国立公園~ ④

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滞在3日目・最後のサファリ


雲が多い今朝は、昨日より少しぬるく温かい。
とは言え、防寒対策は必要な気温だ。同じく真冬の身支度を済ませ、まだ暗い中、慣れた手順でサファリへ出発する。

既にビッグ5を制覇した僕らだが、4回目、最後のサファリには今までと違う思いがつのる。
それは「何かの動物を見たい」ではなく、「少しでも長くこの野生の王国の一部でありたいと願うこと」、または「少しでも多く、この世界の空気を感じておきたいと願うこと」。

うーん、うまく言葉にできないが、要するに最後まで感動!ということだろうか。

だんだん見慣れてきてしまったインパラやヌー、シマウマの群れ。それでも1頭ずつにありがたさを感じるし、これが最後と思うと、感覚がどんどん少年時代に戻っていく。彼らの生活を守りたい。こぶしを強く握り、子供の頃の決意がよみがえる。

「ただ動物を見ることがサファリではない。星空も風も、虫の声も、草木も。すべてを感じる体験がサファリ」とレンジャーが教えてくれた。
日本とこの場所がつながっていること、東京での僕ら生活と彼らの草原での暮らしが一直線上にあることを、深いところで理解できたような気がする。

これまでの3回とは違う目線で、最後のサファリを楽しんだ。

思わず寝転がって眺めたアフリカの空は、一生忘れられないだろう。



2泊3日。自分の30年の人生の中では本当に短い時間だ。
原点回帰を目指した旅、当初の目的を達成できたかはわからないが、少なくとも、他にないこの感動は間違いない。

一生に一度と思ったはずが、また来たいと思っていた。

何かに立ち止まったら、悩みなんか吹き飛ばしに、明日から頑張るために、クルーガーに戻ってこよう。

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